07 | 2017/08 | 09

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類い希なフットボールIQが栄冠へ導く 

※かなり専門性の強い内容のため、フットボールに関心の高い方以外は閲覧無用

遅ればせながら、高校サッカー選手権決勝を観た。流経柏が圧巻のパフォーマンスで藤枝東を粉砕し、初優勝を飾った試合だ。絶え間ないプレッシング、ダイレクトを多用したワイドな展開、そして〆の局面を打開する確かな個の力。選手権王者に相応しい威風が、そこにはあった。

しかし、彼らのスキルがずば抜けていたわけではない。確かに大前や上条ら数人は突出していたが、ことボールテクニック全般に関して言えば、藤枝東の方が全体的な質は高かったのではないだろうか。勝敗を分けたのは、「フットボールIQ」の差だったように思う。

とにかく彼らはプレースピード、判断力、継続力、柔軟性に長けていた。ダイレクトを交えて素早く繋ぎ、ワイドな展開も見せる一方で、状況をきちんと見極め、無駄な仕掛けや無謀な勝負は決してしない。パスルートをつくるために必要なポジションを各自が維持し、空いたスペースは柔軟にスライドして埋め合わせる。その精緻な連動性に、彼らの卓越したフットボールIQを実感した。

象徴的なのは、相手3バックの崩し方。3バックの弱点(注1)である両サイドを突くため、大前は極端にサイドへ寄ったポジションを取り、ストッパーを釣り出しにいっていた。そして、2列目、あるいはサイドバックが中央へと切り込むことで幾度となくチャンスが生まれ、やがてゴールに結び付いた。


注1)3-5-2はシステム上、両サイドを中盤の2人のウイングバックがケアするため、4-4-2などサイドに4人を置くシステムとの対峙では数的不利に陥りやすい。


もちろん、これらは監督の指示によるものだろう。とはいえ、全体のバランスが変わってしまうリスクをヘッジし、なおかつ有機的に戦術を遂行するという難解なタスクは、容易にこなせるものではない。しかも、彼らは誰の目にもそれと判るほどの戦術的パワーを発揮させたのだ。意図や狙いをプレーへ完璧に還元できるフットボールIQの高さは、高校レベルを遥かに逸脱していた。


さて、そもそもフットボールIQとは何を指すのだろうか。経験や探究心に裏打ちされた知識、もしくは連綿たるフットボールの歴史が導く“定石”の記憶量と言い換えることができるかもしれない。そしてそれは、先天的にセンスを欠く凡百の選手に光を与え、天与の才に恵まれた“超人”達と伍し、上回るための唯一無二の武器となる。

フットボールIQが保証するのは、チームの活性化と安定感だ。このIQが高い選手は、守っては急所を見抜く抜群の危機察知能力で相手のチャンスの芽を摘み取り、攻めては豊かな先見力を駆使し最適な位置へ自らと味方、ボールを誘う。

彼らは最適な動きを最小限の時間と挙動で果たすため、その働きは華やかなボールコンダクターに比べて地味で目立たない。けれども、いつの間にか──誰もがそれとは気付かぬうちに──チームはスムースに駆動し、一体感が生まれていく。文字通り、“歯車”のような存在と言えよう。

どんなに高性能なエンジンを積み、豪奢な装飾が施されていようと、歯車を欠いた車はただの鉄塊だ。動けないうちに、やがて錆びて朽ち果てる。チームに置き換えれば、機能不全、組織破綻をきたすことにあたる。言うまでもなく、待っているのは敗北という名の暗闇だ。

すなわち、フットボールIQの高さ、そして高いフットボールIQを有する選手の存在は、チームの秩序を保つために必要不可欠であると言っても過言ではないのである。

この不可視の才能は、見えぬが故に評価されづらい。けれども、その高低が分ける差は克明だ。技術の“総力”では優劣付けにくい流経柏と藤枝東に明暗がくっきりと分かれたことが、それを再確認させてくれた。


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テクニックがあって、かつフットボールIQも高い選手というのはなかなかいない。何故なら、テクニックがあれば個人で局面を打開できる(と盲信している)からだ。故に、往々にして本能的で、試合を決定付ける働きを示すこともあれば、完全に消えて味方を数的不利にすることもある。ロナウド(ミラン)、インザーギらが代表格。

一方、フットボールIQの高い選手は比較的技術面に難のあるタイプが多いものの(もちろんジェラードのように技術を兼備する選手もいるが)、勤勉で誠実、献身的な彼らは安定して力を出し切る。勝敗を左右することは滅多にないが、試合を壊すこともない。明神や橋本(共にG大阪)、鈴木啓(浦和)、伊東(清水)らが好例。

一概にどちらが優れているかとは言えないが、個人的な意見として、ややフットボールIQを磨き上げる作業や知力で勝負するタイプの選手は軽視されているように思う。それが残念でならない。


やっと仕事が一段落したと思ったら、くだらない飲み会で拘束されてイライラが募ったため、気分転換に長文をしたためてみました。明日も明後日も、そして土日も休めないですが(苦笑)。
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コメント

興味深い話でした。

フットボールIQ、よくインテリジェンスという言葉で表現されてたりしますね。
頭のいい選手、頭の悪い選手。
一概にどちらがいい選手か決められないのがサッカーの面白いところですね。

しかし私見として言わせて頂くと、ピッポ・インザーギはむしろ後者のフットボールIQの方が高い選手になると思いますよ。DFラインの裏へのチャレンジを90分間愚直に行い続けることこそがピッポの良さではないでしょうか。
ストライカーの嗅覚・本能と言われているポジショニングの良さも、常にフリーのスペースへの走りこみを欠かさない献身と相手の急所を見極めるIQの高さの賜物だと私は思ってます。
むしろピッポこそ身体能力もテクニックもないがIQの高さだけで世界の一流たりえてる選手ではないか、というのが私の見方です。

●3●<ピッポ最高~♪
     EURO08にも召集しろよ~

久しぶりにオリジナルの長文でした

>インギー様

実はこれ、携帯で書いてるんですよ~。それを一旦メールで送って、体裁をブログ用に整えて仕上げました!
(゚Д゚)ノ

確かに、ピッポを前者の代表例として挙げたのは失敗でしたね。今になって思い返すと、何故挙げたのかが分からない(苦笑)。なにせ、インギー様のご指摘は、普段私が周囲に語っている「F・インザーギ論」ですからねw
(;^ω^)

それにしても、インギー様がピッポにそこまでの愛を捧げているとは思いませんでした。
( ゚Д゚)

ユーロでも、選ばれれば決定的な仕事をしてくれそうですもんね♪

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