07 | 2017/08 | 09

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その背中、未だ遠く。されど、確かな一歩 

【ミラン対浦和】

この日は白をまとった世界の赤が、アジアの赤に実力の違いを見せ付けた。

ミランは立ち上がりから全体を高い位置に保ちつつボールホルダーへ積極的にプレスを仕掛け、奪ってからは図抜けた足元の技術を生かしてグラウンダーで繋ぎ、じっくりと攻め上がる。

一方、浦和の守備も慎重だった。全体が非常にコンパクトな陣形を維持すると共に、阿部と鈴木の両ボランチはミランの起点であるピルロ、攻撃の核となるカカーに対して即座に反応し、自由を与えない。1人がチャレンジし、2人がコースを切るという3人体制での守備も、よく機能していた。少なくとも、世界屈指のテクニシャン揃いの中では、ややボール扱いが雑なガットゥーゾやアンブロジーニを慌てさせ、ミスを誘発するには十分な威力があった。カカー、ピルロへの供給をタイトなマークで防ぎ、ガットゥーゾやアンブロジーニ、もしくはサイドバックのところで奪う。そこから一気に押し上げて攻撃へ転じるというのが、描いていたプランの一つだったのかもしれない。

「守りから入る」という割り切った立ち上がりが、逆にプレーを明確にし、フィニッシュまでの精度に繋がる。3分44秒には阿部がこのゲームのファーストシュートを放ち、続く6分28秒にも長谷部がシュートまでもっていった。また、片方のサイドに相手を寄せてから、逆へと展開するという「オシム式」を想起させるプレーからも好形をつくっていた。5分50秒頃には、闘莉王の足を払ったネスタにイエローカードが出されるなど、ミランの守備陣が想定以上の警戒を余儀なくされたのは間違いないだろう。事実、ミランは攻撃に転じても、ほとんどのシーンでディフェンスに人数を残していた。

しかし、地力で勝るミランは、エンジンが温まるにつれて徐々にリズムを取り戻す。13分、ピルロのFKが都築を脅かせば、その直後のCKにアンプロジーニが得意のヘディングで合わせ、ゴールに迫る。前半15分過ぎからは完全にミランのペースとなった。牽引したのは、過去アヤックス、R・マドリー、ミランで3度欧州制覇を達成しているセードルフ。カカー、ピルロへのマークが厳しいと見るや、この経験豊富なベテランは抜群の運動量で縦横無尽に動き回って起点となり、時には自ら最前線へと飛び出していく。これによって、オッドとヤンクロフスキーの両サイドバックの攻め上がりが活性化し、カカーやアンブロジーニといった2列目、3列目の選手にもスペースと時間が生まれた。

すると23分、ミランは決定的なチャンスを迎える。センターサークル付近でボールを受けたカカーが抜群の加速性能とボディバランスを生かして阿部、ネネを振り切り、中央をこじ開けると、併走してきた右のセードルフへ。セードルフはそのままエリア内へ侵入して右足を振り抜くも、「置きにいってしまった」シュートは都築の正面を突いてしまう。

これを皮切りに攻勢を強めるミランは、25分、30分と相次いでアンブロジーニがゴール正面からフリーでシュートを放ち、39分にはオッドからのクロスをニアでジラルディーノが合わせるも、精度を欠いてゴールは奪えない。

この時点でボールポゼッションはミラン63%、浦和37%まで傾いていた。浦和はボールを奪ってもパスの受け手ががっちりと押さえられていて、なかなか前を向けない。ようやく40分、ワシントンがドリブルからクロスを上げ、永井を経由して流れたボールに鈴木がシュートを打つもヂダが真正面で押さえた。

0-0で折り返した後半は、一気にペースアップしたミランが波状攻撃に出る。12月1日以来の中12日という十分な休養期間を得た彼らに、「いつもの」後半の失速は無縁だった。

48分、中央に守備を寄せさせてから左サイドへ振り、ヤンクロフスキーがダイレクトでボレー。際どいコースに飛ぶも、ゴール右へ外れる。

50分には圧巻のコンビネーションからセードルフがペナルティエリアへ抜け出すも、都築が飛び出してブロック。その5分後には、再度セードルフが素晴らしいタイミングでエリア内へ飛び込み、後ろからのボールを巧みにトラップしてシュートを放つが、枠外へ逸れる。

さらに57分、アンブロジーニからのピンポイントクロスにジラルディーノが合わせるも、枠の外。61分には、ジラルディーノがセードルフとの「ピック&ロール」でエリア内へ踏み込み、シュートを放ったが、DFに当たってクリアされる。

押し込みながら1点が遠いミランは、本来決勝に向けて温存するはずだったインザーギを投入し、全力でゴールを奪いにいく。

このなりふり構わぬ姿勢が68分、ついに実る。左サイドから圧巻のクイックネスで坪井を易々と振り切り、エリア内へ切り込んだカカーのパスを、セードルフが華麗なボレーで叩き込み、ミランがようやく均衡を破った。

喉から手が出るほど欲しかった先制点をものにしたミランは、あとはイタリアの伝統カテナチオを発動させ、守りきればよかった。

決して無理をせずにボールを回し、相手の攻撃をいなし、すらし、残り時間を冷静に削る。79分にはヤンクロフスキーに代えてマルディーニをピッチへ送り、決勝への足慣らしと守備固めを同時に実現。浦和は、負傷明けの山田、平川を投入して最後まで追いすがったが、最後まで閂(かんぬき)をこじ開ける術は見出せず、世界制覇の夢は潰えた。

---------- キリトリ -----------

0-1というスコア以上に、内容には大きな差があった。しかし、アジア代表に相応しい戦いは示した。本気の欧州王者を向こうに回し、67分間に亘って耐え抜いたのだから。

そもそも、ミランの先発メンバーにイタリア人は6人しかいなかった。浦和は9人が日本人だった。ミランのゴールをアシストしたのはブラジル人で、決めたのはオランダ人だ。世界選抜といっても過言ではないミランに、日本人ばかりの浦和が肉薄したことに、もっと我々は誇りを持つべきではないだろうか。
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コメント

楽観的になるか、悲観的になるか

判断は人それぞれですよね。
スポナビのブログなんか見ていても、
完敗だったという人もいれば、善戦したという人もいました。

私の拙いサッカー観からすると、やはり完敗かなと思います。
浦和もよく守っていたとは思いますが、それだけという印象で、
攻撃面ではそれほどミランに脅威を与えてなかったと思います。
(強いて言えばワシントンのシュートぐらい?)
こうなると、やはりポンテ不在は大きかったのかなと感じました。
まあでも、暁さんも仰るとおり、そんなに悲観することもないのかな?

そうですね~

>どらぐら様

私は、「完敗」だと思っています。しかし、単に「勝敗」だけ見れば「善戦」でしょう。その線引きはしておかなければならないと思います。

ただ、イタリアのクラブなのに「11人も外国人を抱える」のと、日本のクラブで「2人しか外国人がいない」とでは、どちらが国の代表として価値があるかってことです。

その点においては、浦和が「ほぼ日本人」でここまで戦えたのは、大きいかなと。

この文章の意味合いとしては、そこに尽きますね。

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