09 | 2017/10 | 11

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死の狂宴 

一人のフットボーラーが死んだ。

22歳という若さで死んだ。

持病があったわけではない。

突然、抵抗する余地さえ与えられぬまま、彼の未来は閉ざされたのだ。


8月25日、セヴィージャはヘタフェをホームに迎え、リーガ・エスパニョーラ開幕戦を戦っていた。

彼──アントニオ・プエルタ──は、左サイドハーフで先発出場。下部組織からの生え抜きである22歳は、セヴィジスタにとって期待の星だった。既にスペイン代表にも召集されており、往く先には輝ける未来が待っていると、誰もが信じていた。

それなのに──。

前半35分、帰陣しようと走っていた彼は、何の予兆もなくフィールドに突っ伏した。ただごとでないことは、誰の目にも明らかだった。直ぐさま試合は中断、メディカルスタッフが駆け付ける。懸命な処置の甲斐あって意識を回復した彼は、自力でピッチから去り、ロッカールームへと向かっていった。

誰もが胸をなでおろし、安堵の空気が漂い始めていた。

しかし、ロッカールームで彼は再び倒れた。

病院での治療が奏効し、一時は快方へと向かっていた。セヴィージャのディレクター、ホセ・マリア・クルスは「意識もしっかりしているし、心肺も動き始めた」とコメント。光明が射したかのように思えた。病院側が、「現在も集中治療室におり、昏睡状態が続いている。補助呼吸器に頼らざるをえない状況であり、血流も不安定だ」との報告書を出すまでは──。

この予断を許さぬ状況に、多くのフットボールを愛する人々からメッセージが送られた。「一生を懸けて憎み合う」と言われる同じ街のライバル、ベティスのファンや会長も、彼の帰還を心から望み、力ある言葉を振り絞った。

だが、危篤に陥ってから3日後の28日午後、彼は静かに息を引き取った。

フットボーラーが1試合に走る距離は、年々増加の一途を辿っている。戦術的な研究が進んだ結果、プレーの高速化が不可欠になってきたからだ。これに、「利益をあげるため」に仕組まれた年間試合数の急増が追い討ちをかけ、フットボーラー達の健康は蝕まれていく。

もちろん、各クラブはメディカルチェックに万全をきたし、健康管理を徹底している。重大な疾患が見つかれば、引退勧告も行う。

とは言え、それも完璧な予防策ではない。

生きていく術を他に知らないフットボーラーは、病を隠し、ピッチに立つのだから。


フォエの悲劇から、我々は多くを学んだ。以前とは比べものにならないほど、スタジアムでの医療設備・体制は強化されている。

けれども、毎シーズンどこかで、ピッチ上で死出の旅につくフットボーラーが生まれている現実を、見逃してはならないだろう。

いったいいつになったら、音量を増しつつある警鐘に気付くのか。

アジア圏を取り込み肥大化するフットボールに群がり、利権で私腹をこやすFIFAやUEFA、TV放映権の高騰によって金満化するクラブ、そして高給に釣られて命を削り続けるフットボーラー。

死すら抑止力にならぬ狂宴に、終幕の気配はない。
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コメント

かなり好きな選手だったので残念です。
意識が戻らないと聞いて、スペイン留学していた友人に教わりながら、激励のメールなども送ったんですが届きませんでしたね…。

やはり記事の通り原因は過密日程でしょうか…。
運動量が増加傾向にある中で、週2,3試合は無理があると思います。

もう選手が死ぬのは見たくありません。
リーガだけの問題ではなく、サッカー界全体の問題として、対策を講じて欲しいです。

最後にプエルタのご冥福をお祈りします。
  • [2007/08/29 12:17]
  • URL |
  • バイエルン好き
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

ご冥福をお祈りします。

たまたま早朝に目が覚めて、あの試合を観戦し、
まさにその場面を目撃しました。
歩いて退場したときは大丈夫かなと思ったのですが、
その後のニュースで重症だと知って驚きました。
最悪の事態にだけはならないでと祈ってましたが・・・。

まだ若く、サッカー選手としても将来を期待され、
また、もうすぐ一児の父親にもなるはずだったのに・・・。
残念でなりません。

心よりご冥福をお祈りいたします。

残念でなりません

>バイエルン好き様

激励のメール、送ったんですね。世界各国から沢山の想いが送られました。何とか届いて欲しかった。

今日、出棺されるところの写真を見て、思わず涙しそうになりました。将来ある若人が何故死ななければならなかったのか。誰もが心から考えるべき時期に差し掛かっていると思います。

ブラジルやポルトガルでは実際に亡くなるプレイヤーが出てきていますし、もはや他人事ではありませんね。対策は急務なはずです。

現代フットボールの犠牲になった彼らの冥福を、祈らずにはいられません。

冥福を祈るばかりにて

>どらぐら様

そうですか、あの映像を生で追ってらっしゃったんですね。。。日記にも書かれていましたが、本当に悲しく、痛ましい事件(事故でなく)でした。

奥さんと、残された子供に健やかなる未来が訪れることを切望してやみません。

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