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07 | 2021/08 | 09

欧州戦線の胎動・1 

いよいよ全ての欧州主要リーグがスタートした。放映権バブルに沸く英・プレミアリーグ、約190億円を投じたR・マドリーを筆頭に昨季の上位陣が全てハイレベルな陣容を誇るリーガ・エスパニョーラ、「世界で最も選手層の厚い」と評されるインテルを筆頭に欧州王者ミラン、復帰の名門ユベントスらが牽引するセリエA、まさに「帝国」をつくり上げたバイエルンが暴力的な強さを発揮する独・ブンデスリーガ、6連覇中のリヨンのパフォーマンスに翳りが見え始め「戦国時代」の到来を予感させるリーグ・アン、PSV・アヤックス・AZ・フェイエノールトの「4強時代」に突入したエール・ディヴィジョン――全てのリーグに魅力・見所が満載で、さらなる活況を期待できそうだ。

近年は、タイトル争いが一握りのビッグクラブに限定されがちなだけに、そういった意味ではいずれのリーグでも波乱の少ない展開となりそうだが、ビッグクラブ同士の戦力値は均衡してきており、寸分のミスも許されない緊張感に満ちた道程になることは間違いない。既に開幕から数試合を終えたリーグもあるが、各国のリーグを改めて展望していきたい。




---------- キリトリ -----------

○英・プレミアリーグ

これまで君臨してきたビッグ4――マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、リバプール――から、アンリを失ったアーセナルが脱落し、今季の頂点は3チームによって争われることになりそうだ。

本命は昨季2位に終わったチェルシー。今季は世界的なビッグネームの獲得こそないものの、「泣き所」だったセンターバックにベン・ハイム(前ボルトン)、アレックス(前PSV)という世界屈指の実力者を補強し、中盤には万能型のシドウェルが加わった。ロッベンこそ失ったが、その穴はマルダ(前リヨン)で十分埋まる。2年目を迎えるシェフチェンコ、バラックがフィットすれば、覇権奪回は余裕だろう。

マンチェスター・ユナイテッドは、ついに長年恋患ってきたハーグリーブス(前バイエルン)の獲得に成功し、C・ロナウド二世と呼ばれるナニ(前スポルティング)、ロナウジーニョの後継者アンデルソン(前ポルト)といったフレッシュな若手も釣り上げた。昨季サラゴサで活躍したセンターバック・ピケがレンタルバックしたディフェンスラインも、一層強固さを増した。GK~MFまでの充実度はリーグでもトップだ。

ただ、ルーニーの負傷離脱(全治二カ月)は痛い。新戦力のテベス(前ウエストハム)はセカンドトップタイプで、サハが負傷中のセンターフォワードの枚数が明らかに足りない。ファーガソンは「補強の必要はない」と言うが、開幕からゴール欠乏症に悩み、未だ白星なしの状況を見れば、本格派FWのピックアップを考えてもいいかもしれない。

ここ数年で最大規模の大型補強を実現させたリバプールも、頂点を窺える力を持つ。スペインの至宝F・トーレス(前A・マドリー)を前線に据え、中盤では天才肌のベナユン(前ウエストハム)、「ファルカンの再来」と目されるルーカス(前グレミオ)、CFWとウイングをこなすオランダの俊英バベル(前アヤックス)と、持ち味の異なる新たな逸材が虎視眈々とポジションを狙っている。F・トーレスは早くもチェルシー戦でリーグ戦初ゴールをゲット。爆発の予感が漂う。

エインセを獲り逃した左サイドバックのバックアップに不安が残るものの、要所には昨季チャンピオンズリーグ決勝へ進んだ主力が残っており、「今年こそ悲願のプレミア制覇を」と意気込むサポーターの期待に満額回答を残せるはずだ。

一方、これまで常に優勝争いを繰り広げてきたアーセナルは苦しい。絶対的なエースだったアンリを失った上、フロントのゴタゴタや慢性的な資金難から選手補強がなかなか進まず、純粋な新戦力はFWエドゥアルド(前ディナモ・ザグレブ)、右サイドバックサーニャ(前オセール)ぐらい。アデバヨール、ウォルコット、ディアビ、デニウソン、クリシーなど優秀な若手達の成長に期待できるとは言え、経験や継続性の部分で不安は大きい。特にFWは、エドゥアルドが未知数な以上、レンタルで研鑽を積んだベントナーや怪我明けのファン・ペルシーに頼らざるをえない。ファン・ペルシーはここまで良質なパフォーマンスを見せているが、彼も本来はセカンドトップ。実績あるCFWが欲しいところ。現実的な目標は、チャンピオンズリーグ出場権だろう。

ダークホースには、「再生工場」の異名を持つアラダイスが監督に就任したニューカッスルとタクシン元首相の手で生まれ変わったマンチェスター・シティ、ここ2シーズンに亘り4強を脅かしているトッテナムを挙げたい。マンチェスター・シティについては以前に記載しているため省くが、ニューカッスルは早々にアラダイス効果が出て上位に付けており、トッテナムも監督交代騒動に揺れたものの前節ダービーに圧勝して上げ潮ムード。いずれもスターティングメンバーにはワールドクラスを多数擁するチームであり、怪我人続出の事態さえ避けられれば躍進を遂げてもおかしくない。

<順位予想>

1位チェルシー
2位リバプール
3位マンチェスター・ユナイテッド
4位トッテナム
5位アーセナル


○リーガ・エスパニョーラ

「世界で最もレベル差が少ない」と称されるリーガ・エスパニョーラだが、優勝できるチームとそうでないチームの間にある溝は他のリーグと変わらない。結局は、R・マドリー、バルセロナ、セヴィージャ、バレンシアのいずれかが順位表の1番上に立っているはずだ。

今の勢いなら、決してビッグクラブとは言えないセヴィージャにもチャンスがある。開幕前に行われたスーペル・コパ(リーグチャンピオンとカップチャンピオンがホーム&アウェイで戦う)ではR・マドリーを一蹴。開幕戦も難敵ヘタフェを4-1という大差で下した。昨季2冠を達成したラインナップをほぼキープし、ケイタ(前ランス)やボラルーズ(前チェルシー)、デ・サンクティス(前ウディネーゼ)など実力者が加入。未だに移籍か残留かはっきりしないD・アウベスが残留すれば、頂点も十分に射程圏内だ。

昨季、奇跡的な優勝を飾ったR・マドリーは、「結果は残した。次はR・マドリーらしい美しいフットボールを取り戻したい」とカペッロ監督を解任、攻撃的なフットボールと結果の両立に定評のあるシュスターを迎えた。即座に新監督の要望を汲んだクラブが補強に動き始め、総額約190億円の「宝石」達が参集した(詳しくは「いったい幾ら使うのか」日記を)。さすがにスターティングメンバーのほぼ半分を入れ替えたことによって完成度・成熟度が落ち、またカペッロとシュスターの志向の違いから選手がピッチで右往左往する様も散見され、プレシーズンマッチのデキは低調だったが、開幕戦の「マドリーダービー」を2-1で制し、絶好のスタートを切った。スタイルと連係が噛み合ってくれば、連覇も見えてくる。

一方、思わぬ不調で失意のシーズンを送ったバルセロナも意気軒昂だ。アンリ(前アーセナル)の加入によって控えに回る可能性が出てきたロナウジーニョ、エトー、メッシーに危機感が生まれ、中でもロナウジーニョは絶好のコンディションでバケーションから帰ってきた。同様にヤヤ・トゥーレ(前モナコ)が加わった中盤の「3」もポジション争いが好影響を生み、デコが復調に向かっている他、最終ラインに加わったG・ミリート(前サラゴサ)やアビダル(前リヨン)は守備力の向上に大きく寄与。加えて、ドス・サントスやボージャンらカンテラ(ユース)組の台頭もあり、懸念材料を見付ける方が難しい。世界最高クラスのスカッドを有するバルセロナに、死角はなさそうだ。

バレンシアにもチャンスはある。何よりの武器は継続性がもたらす組織力、安定性。毎年数人だけを入れ替える戦略の賜物だ。今夏もGKにヒルデブラント(前シュツットガルト)、センターバックにアレクシス(前ヘタフェ)とエルゲラ(R・マドリー)、サイドバックとセンターバックを高いレベルでこなすカネイラ(前スポルティング)、前線にはアリスメンディ(前デポルティボ)、ジギッチ(前ラシン)と必要なポイントだけに絞って補強を敢行。チームバランスは国内随一で、堅守速攻型の究極形が完成すれば、タイトル獲得も夢物語ではない。

ここに絡むとすれば、超大型補強に踏み切ったA・マドリーだろうが、彼らには「勝てない伝統」が染み付いている。その象徴でもあったF・トーレスを売却したことで、今後少しずつモデルチェンジが進むだろうが、今季の戴冠は時期尚早な感が否めない。チャンピオンズリーグ出場権に届けば、まず大成功だろう。個人的には、昨季魅力的なフットボールを披露したサラゴサに期待したい。

<順位予想>

1位バルセロナ
2位セヴィージャ
3位R・マドリー
4位バレンシア
5位A・マドリー


○セリエA

図抜けた選手層を誇るインテルを、ミラン、ローマ、ユベントスが止められるか――これがセリエAの焦点だ。

昨季、連勝記録をつくるなど、ぶっちぎりでスクデットを獲得したインテルは、さらに戦力値を増した。新戦力のスアソ(前カリアリ)、キブ(前ローマ)、ヒメネス(前ラツィオ)はいずれも即戦力で、スアソとキブは既にレギュラー格として確固たる地位を確立。爆発的なスピードと決定力を持つスアソはイブラヒモビッチ、クレスポ、アドリアーノ、クルスの誰とでも良好なコンビネーションを示し、ゴールを量産中だ。キブも、持ち前のインテリジェンスとフィード能力を活かし、最終ラインに落ち着きと展開力を注入した。現地では「どこにも穴がないパーフェクトな陣容」と評されており、イタリアはおろか世界中を見渡しても彼らに匹敵する相手は一握り。スクデットとチャンピオンズリーグの2冠で、来年のクラブ誕生100周年を祝いたい。

ライバルのミランは、どうやら昨季欧州を制したメンバーの熟成だけで十分戦えると判断したようだ。新加入はアレシャンドレ・パトとエメルソンという二人のブラジル人だけ。最終ラインの高齢化にもこれといって手を打たず、中盤から前線に並ぶ名前も代わり映えがしない。逆説的に言えば、コンビネーションや戦術浸透度で大きなアドバンテージがある――となるのかもしれないが、どうしても物足りなさを感じてしまう。故障がちな選手も多く、厳しい戦いを強いられそうだ。

クラブ首脳による重大な不正が発覚し、降格の憂き目に遭ったユベントスが、1年間の「みそぎ」を終えてセリエAの舞台に戻ってきた。昇格を成し遂げたデシャンこそ経営陣との関係悪化で失ったものの、後任のラニエリ監督の手腕に疑いの余地はない。彼が約78億円を投じて呼び寄せた新戦力も、ネームバリュー以上の実力者達だ。

ポルトガル代表の守備の核・アンドラーデ(前デポルティボ)、最終ラインならどこでもこなすチェコ代表・グリゲラ(前アヤックス)、セリエA屈指のレジスタと評価されたアルミロン(前エンポリ)、ポルトガルが誇る名ボランチ・チアゴ(前リヨン)、イタリア代表FW・ヤクインタ(前ウディネーゼ)など、まさに多士済々。GKブッフォン、MFネドベド、FWトレゼゲ、同デル・ピエロといった従前からの主力も健在で、チャンピオンズリーグ出場権は十分手に届く。

プレシーズンでは強豪を中心に武者修行へ繰り出し、新戦力のはめ込み作業や新フォーメーション・4-3-3のテストなどを精力的にこなした。欧州カップ戦がなくリーグ戦に集中できるユベントスは、インテルやミランに比べて日程的な余裕もあるだけに、「復帰後いきなりスクデット」というウルトラCを達成してもおかしくない。実際、開幕戦ではトレゼゲのハットトリックとヤクインタの2ゴールでリボルノに5-1で圧勝。順風満帆の出航だ。

この3チームを追うのはローマ。ジュリ(前バルセロナ)、ファン(前レバークーゼン)、シシーニョ(前R・マドリー)、エスポージト(前カリアリ)など補強は「小粒」だが、昨季欧州を席巻した「0トップ」の攻撃力を一層高められるメンバーが揃った。ジュリ、エスポージトはマンシーニ、タッディの負担を軽減できる存在で、生命線のサイド攻撃に持続力が備わるのは間違いない。マンチェスター・ユナイテッド戦の大敗やリーグ戦での不安定さは、選手層の薄さから来るパフォーマンスの低下が招いたもの。それが解消されたら――。王様トッティが昨季のようなプレーを続ければ、久々のスクデットも見えてくる。

スクデットを巡る争いはここまでだろうが、その下、つまりUEFA杯圏内の戦いは昨季以上に熾烈さを増しそうだ。ユベントスと共に昇格してきたナポリ、ジェノアは共に潤沢な資金を持つクラブ。わけてもナポリはセリエBにあるながら平均入場者数でビッグクラブを喰う存在。地味ながら各国代表クラスが並ぶスカッドは、フィオレンティーナ、パレルモ、ラツィオといった既存の中堅クラブと伍せる力を持つ。もちろん、若手の逸材を中心に補強したフィオレンティーナ、貪欲にチーム強化を進めるパレルモ、地に足を付けた戦略でレベルアップを図るラツィオらにも十分のびしろがあり、一進一退の攻防が繰り広げられそうだ。

大怪我からの復活を目指すカターニャ・森本は、故障明けとは思えないプレーで首脳陣に高く評価されており、少なくない出番が与えられそう。開幕前の練習試合ではハットトリックを達成。この好調子を維持できれば、5ゴール前後は狙えるかもしれない。日本国内では「U-22代表の起爆剤に」との声も聞かれ始めているが、まずは万全な体調に戻すことが先決。焦らずに見守りたい。

<予想順位>

1位インテル
2位ミラン
3位ユベントス
4位ローマ
5位パレルモ
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コメント

おやおや、我が愛しきフィオレンティーナを5位に入れぬとは…シーズン終わった後には猛省して頂きましょう(・∀・)

個人的には大きな怪我さえなければミランではないかと思ってます。中堅以下にも面白いチームが増えた今季は上位陣のチームと言えど油断のできない試合が続くのではないでしょうか。そんな中でインテルは愛すべきインテルっぽさが炸裂してしまう気が…失礼ながら(笑)
とりあえず今季はパッツィーニの本格開花に期待したいです、幸先よく開幕でゴール決めましたしね。順位に関してはとにかく憎き白黒より上ということで。

スペインでは早くも波乱?

リーガもいよいよ開幕しましたが、
バレンシアがホームでビジャレアルに負けましたね。
バルサもアウェーでドローorz
ビジャレアルは、次節はマドリーとの対戦なので、
非常に楽しみです(・∀・)

プレミアも、マンUがようやく初勝利を挙げたみたいで。
でも、ルーニー、サハなき序盤戦は苦戦しそうですね。
チェルシーとしては、その間に一気に引き離しておきたいところです。

猛省覚悟でございますw

>インギー様

まずはフィオレンティーナの開幕戦快勝、おめでとうございます!!!
(≧ω≦)人(≧Д≦)人(≧◇≦)人

御見それいたしました。パッツィーニはだいぶ前のFMから期待されている選手ですし、その噂はかねがね聞いていたのですが、開幕戦からやってくれましたね。代表では実績も残していますし、いよいよ本格化でしょうか。イタリア人や若手の少ないインテルに比べ、羨ましい限りです。
(;つД`)

スクデットはミランですか。。。確かに不気味ですもんね。まぁ、それでもインテルが勝ちますけどwww
Ψ(`∀´)Ψケケケ

リーガは相変わらず激戦

>どらぐら様

ビジャレアルは随分と面白いチームに仕上がってますよね。若手と実績ある選手のバランスがよく、昨季終盤の勢いがあれば上位を賑わしそうです。

バルセロナはまさかノーゴールで引き分けるとは。
(;・∀・)

残念ながら内容を把握していないので何とも言えませんが、コンビネーション等含めてこれからでしょうか。

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