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04 | 2021/05 | 06

Pride in South-America 

この戦いは、単にフットボールの巧拙を問うものではない。誇りと誇り、民族と民族、国と国との価値を賭けた血湧き肉躍る「DNAの闘争」なのだ。

共に世界に冠するフットボール大国。世界一を常に自認する両国は、お互いを決して認めない。全力で叩き潰し、せせら笑う──。それが彼らの流儀。「世界一の美女大国」ベネズエラで、世界一美しく白球を愛でるフットボーラー達の「狂宴」が幕を開けた。

先手を奪ったのは、ここまで圧倒的な力で勝ち上がってきたアルゼンチンではなく、首の皮一枚で生き延びてきたカナリア軍団だった。

積極的なプレスと身体を張ったディフェンスで立ち上がりから打って出ると、開始僅かに3分、この日久しぶりに先発メンバーへ返り咲いたエラーノからバチスタへ繋がり、豪快なシュートがネットを揺らす。

対するアルゼンチンは、生命線のメッシー、テベス、リケルメが激しいマークで潰される中、ベロンが巧みな手綱捌きでジョズエ─ミネイロのダブルボランチを引き剥がし、徐々に攻撃のリズムを取り戻していく。横と縦への広がりを生む彼の「散らし」が、メッシーやテベスの自由を解放し、ボールを持った彼等の仕掛けは、高さと強さはあれど鈍重なブラジルディフェンダーを蹂躙する。単純なマッチアップの強さでは、アルゼンチンに分があるように見えた。

ただ、何度か個の突破からチャンスを掴みながら、それを生かせなかったことが、悲劇をもたらす。

前半39分、カウンターに転じたブラジルの攻撃を水際で食い止めようとしたアジャラのスライディングタックルが、アルゼンチンゴールに突き刺さった。

まさかのオウンゴールで2点差がついたゲームだが、共に前半の内容には見所があった。更なる波乱を期待させる45分間。「序幕」には、スコアの差を感じさせない痛み分けの様相が垣間見えた。

ところが、後半になってアルゼンチンは急速に機能不全に陥ってしまう。パス交換はスムーズさを欠き、焦りからか単独突破を繰り返しては潰される悪循環。安定感に満ち溢れたブラジル守備陣に悉く跳ね返されてしまう。

点が欲しいアルゼンチンは、防波堤として効いていたカンビアッソに代えてファンタジスタのアイマールを、攻撃のタクトを振るっていたベロンに代えてウイング的なマルク・ゴンザレスを投入するなど、全軍挙げて攻撃へ傾注したものの、注意深く丁寧な個別撃破を貫いたブラジルの守備に綻びは見られず、徐々にトーンダウン。

すると後半24分、再びカウンターからヴァグネル・ラブがダニエル・アウベスへ絶妙なスルーパスを通すと、アウベスは右45度の難しい角度から〝お手本通り〟に対角線のネットぎりぎりへ打ち込み、3―0。チェルシーら欧州のビッグクラブがこぞって獲得を狙う逸材が、母国の勝利を確定付けた。

これでブラジルは2大会連続8回目の栄冠。逆にアルゼンチンは2大会連続決勝で涙を呑んだ。就任以来、なにかと批判されてきたドゥンガ監督は初めての公式大会でチームを優勝に導き、その価値を全世界へ証明した。しかし、決勝戦前日にもかかわらず、そのプレー内容についてペレなどのいわゆる「レジェンド」が批判を繰り返すなど依然火種は燻っており、今後は結果と内容をどう符合させていくかが課題となりそうだ。今回の招集を辞退したロナウジーニョ、カカの処遇も含め、ドゥンガの悩みはまだまだ尽きそうにない。

---------- キリトリ -----------

早起きした甲斐のあるゲームでした。内容は、確かにテクニカルでもスキルフルでもありませんでしたが、南米の2強が国の威信と自らの誇りを懸けて戦う姿は、やはり格別です。

グループリーグでの躓きや準決勝ウルグアイ戦の大ピンチもなんのそので優勝してしまったブラジルは、これまでのような圧倒的な破壊力こそなかったものの、最上級の「結束力」がありました。「チームとしての強さ」は94年大会以来あまり見られなかっただけに、どこか新鮮でした。

アルゼンチンはクレスポの怪我が痛かったですね。「フットボールは体格でするものではない」が嘘偽りでないのは間違いないでしょうが、手数が限られてくるのは否めません。ケンペス
からバティストゥータ、クレスポと受け継がれてきたファーストトップ(センターフォワード)の系譜に早く後継者が現れて欲しいところです。
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