ウンターハヒンク日記
■ここまで■大幅に選手を入れ替え、新シーズンに臨む。そして、ヨーロッパリーグという新たな舞台に立った。
~クリスティアン・シュバルツ記者のコラムより~ヨーロッパリーグは全日程を終了し、ベスト16の顔ぶれが決定した。そこで今回は、ウンターハヒンクの歩みを振り返りたい。
ウンターハヒンクは予選3回戦から登場した。対するはリトアニアのスドバ。“初陣”がアウェイというプレッシャーのかかる状況だったが、相手に1本のシュートも許さずに3-0で一蹴した。続くホームでの戦いは油断からか1点を失ったものの4-1で大勝。アグリゲートスコア7-1で4回戦へ進んだ。
アウェイにもかかわらず、シュート23本を浴びせて楽勝した
ホームで内容が落ち、監督は不服そうだったが、4-1と楽勝4回戦ではギリシャの強豪AEKが立ち塞がった。ホームで絶対的な強さを誇るギリシャ勢に苦戦を予想する声は少なくなかったが、そのAEKのホームで堂々たるパフォーマンスを披露。6割を超えるポゼッションで主導権を握り、3-0で完勝した。ホームでは決定力を欠き、1-1で引き分けたが、2試合を通じて優勢は揺るがず。新興クラブの勢いを見せ付け、“本選”へと歩を進めた。
絶対的なアウェイにも動じず、後半で勝負を決めた
3回戦に続きホームで内容が落ち、監督は再び苦言を呈したその本選では、ウディネーゼ、アヤックス、パルチザンと同居した。いずれも各国で確固たる地位を築いている強豪だ。
突出した戦力を誇るクラブのないグループH前評判では、アヤックス、ウディネーゼに次ぐ3番手。ただ、ウディネーゼにはヨーロッパリーグを軽視する傾向がある。決勝トーナメント進出を十分に狙える組み合わせとなった。指揮官も「リーグ戦とヨーロッパリーグの両立は厳しいが、それに耐えられるだけの選手層はある。当然、ベスト16を目指す」と強気に言い放った。
ところが、その出鼻を挫かれた。アウェイでのアヤックス戦。11分、ボールサイドの逆にいる選手のマークを完全に怠り、Madureiraに決められると、4分後にはスルーパスで中央を破られて追加点を献上する。18分にCKからVukovicがニアで合わせて1点を返すが、追い上げるべき後半に2点を失い、1-4の惨敗を喫した。
内容はそれほど悪くなかったが、守備が崩壊した最悪の初戦となったが、そこから巻き返す。ホームでのパルチザン戦は、立ち上がりから気迫を前面に出して主導権を握る。ラフな当たりが多くなり、22分、41分と相手を負傷退場させたのは“過剰”だったが、Messaoudiの終盤の2発で“初白星”を手繰り寄せた。
退場者を出し、さらに2-0から1点を返される薄氷を踏む勝利だった
2得点を挙げたMessaoudi。Santosよりも先に覚醒しつつある第3節と第4節は決勝トーナメント進出を争うウディネーゼとの連戦。勝ち点を直接やり取りする最大の“難所”だ。まず第3節は、ホームの利を生かしてボールを保持。第2節と同様にゴールは遠かったが、ようやく65分、Immobileがネットを揺らすと、79分にはBajramiが豪快なミドルを突き刺して2-0とする。残り10分で2点差。勝利は確定的と思われたが、守備陣が支えきれない。82分、セットプレーのマークが甘くなって1点を失うと、ロスタイムだった。カウンターでディフェンスラインの背後を取られ、まさかの同点弾を献上。勝ち点2を土壇場で失った。
ホームで勝ち切れず、痛いドロー第4節は、イタリアの強豪でさえ手を焼くフリウリでの開催。指揮官は難所を乗り越えるため、秘策を講じた。4-2-3-1の採用だ。FWを1人減らし、中盤を厚くして“ボール狩り”の圧力を高める一方で、トップ下にDericiを抜擢。高い技術と創造性を持ち、得点力も兼ね備えるトルコ人MFに“一撃必殺”を求めた。
20歳時の写真。現在は、全般的に成長している攻勢に出たのは、やはりウディネーゼだった。37分にはOperaが左サイドのタッチライン際から一気に中へ切れ込み、豪快にGKのニアを破って先制する。劣勢のウンターハヒンクだったが、48分、Bajramiがセンターサークル付近でDericiからパスを受けると、スピードを生かして独走。GKを交わしてゴールネットを揺らし同点に追い付く。
58分にはRibasの巧みなターンでCBが交わされ、ゴール右隅に決められて勝ち越されたが、Dericiが再び輝く。78分、右サイドからのクロスに中央でヘディングで合わせると、これが同点弾となった。Dericiが先発起用の期待に応えて1得点1アシストと輝き、難所から勝ち点1を持ち帰った。
2倍ものシュートを打たれたが、引き分けに持ち込んだ
2試合連続ゴールでDericiと並び勝利の立役者となったBajrami。新加入ながら完璧にフィットしている両者譲らず――。ウディネーゼとの“決着”は、残り2試合に委ねられた。第5節は、アウェイで大敗したアヤックスをホームで迎え撃つ。
アウェイでのスコアが物語るように、地力では及ばないウンターハヒンク。ホームでもボールを回される展開となる。それでも先手を奪ったのはウンターハヒンク。左からのクロスをGKがこぼすと、中央でDericiがプッシュした。
だが43分、アヤックスは左サイドを崩すと、中央への折り返しにSulejmaniが詰めてグループ首位のプライドを見せる。さらに、後半も猛攻。ウンターハヒンクを自陣に釘付けにする。
そこに立ちはだかったのが守護神のRiedererだった。好セーブを連発し、アヤックスの攻撃をシャットアウト。アタッカーは彼の奮闘に応えたかったが、Santosがチャンスをことごとくフイにし、1-1のドローに終わった。
アウェイでの大敗からすれば、1-1のドローは健闘と言えるか
ELでは守護神を務めるRiederer。この試合のレイティングは9を記録したこの時点でウンターハヒンクは1勝3分1敗の勝ち点6。ウディネーゼも1勝3分1敗の勝ち点6で、全ては最終節の結果次第となった。ウンターハヒンクの相手はパルチザン、ウディネーゼの相手はアヤックス。巡り合わせが、ウンターハヒンクを後押しした。
アウェイでのパルチザン戦、ウンターハヒンクの“突破”への強い気持ちが、いきなり実を結ぶ。3分、右からのクロスをDericが落とし、Santosが豪快にゴールへ叩き込んだ。前節での汚名を返上する貴重な一撃だった。
しかし、相変わらず守備陣がピリッとしない。16分、コンビネーションで左サイドを破られ、Diarraに“お返し”とばかりの痛烈な一撃を浴びる。
あっさりと追い付かれる嫌な流れ。それを断ち切ったのが、McCleanだった。Dericiのスルーパスを受けて抜け出すと、冷静にゴール左隅を射抜いた。76分にはElmがミドルシュートを突き刺し、勝負あり。アヤックスと引き分けたウディネーゼを抑え、ベスト16の座を手にした。
決定力の差が勝敗を分けた
新戦力のMcCleanはBajramiと同様、得点に絡めるのが特長グループステージは2勝3分1敗の勝ち点9、11得点11失点という結果だった。
失点の多さは今後の課題だとりわけ目立ったのは、勝ち切れなさ。その最大の要因は“失点癖”だ。6試合の全てで失点している。ベスト8を目指す上で、守備のテコ入れは欠かせない。一方で、攻撃は手応えを掴んだ。4節で導入した4-2-3-1が奏功している。トップ下ではDericiが躍動。3試合で2得点3アシストの結果を残し、ベスト16の立役者となった。敵地でのウディネーゼ戦、ホームでのアヤックス戦と厳しい試合で活躍したのも今後に向けて心強い。
決勝トーナメント1回戦ではイタリアのインテルに挑む。アヤックス以上のタレントを有するメガクラブと、どう戦うのか。野心家の指揮官は腕を撫しているに違いない。
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<編集後記>さんざん放置した挙げ句、ELのグループステージ突破までのレポートって、どうなんだ(苦笑)。ELで失点が多いのは、GKを2番手のRiedererにしているからという噂もあります。それでも、たまに能力値以上に活躍するから出番を与えたい。貴重な古株ですしね。
リーグ戦は次回、一気に進めます。ELの決勝トーナメントも絡めながら。今度は、もっと早くにお届けできると思います。早く完結させたいですしね。
ただ、次に取り掛かるべき2013が芳しくない。何も書かず、何も残さずにHSVでプレーしていますが、あのアトラーでさえ、現実ではありえないようなプレーで失点します。バイエルン戦では、ノイアーが足元にボールを置いたままマゴマゴしているのをかっさらって、ゴールを決めました。なんなんすか、これ!(古っ)。世界最高峰のGKが、頻繁に超絶珍プレーを披露する。これは萎えます。もう暫くは“塩漬け”ですね・・・。
次回へ続く!!
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