09 | 2017/10 | 11

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独ブンデスリーガの前半戦を振り返る・2 

ウインターブレイクを経て後半戦に突入した独ブンデスリーガ。その前半戦を幾つかのテーマを基に振り返る。今回は「目立った選手・ダイヤの原石」と「日本人選手のパフォーマンス」。好調が目立った選手と将来性を感じさせた若手、そして9人の日本人選手のパフォーマンスについて言及する。





○目立った選手・ダイヤの原石

目立った選手は、ベストイレブンという形でピックアップしたい。さらに、敢えて「著名選手」を除外した(著名の基準は主観だが)。報道される機会が少なくとも、良質な選手は多いからだ。なお、布陣は便宜上4-4-2を採用する。

GKは、デュッセルドルフのギーファー。長身としなやかさを生かしたハイボールや“横”への強さ、抜群の反射神経、1対1での冷静な体捌きで数々のピンチを防いできた。フランクフルトのトラップと悩んだが、彼はカイザースラウテルン時代から評価されていた。アンダー世代の代表暦があるにせよ、1部での実績はゼロに等しかったギーファーのインパクトを優先する。

右SBは、フランクフルトのユンク。1得点1アシストの数字以上に印象を残した。スピーディーでパワフルなオーバーラップと速く精確なクロスを武器に、幾度も好機を演出。ドイツ代表にも招集された気鋭の右SBだ。守備を磨けば、さらに光るはず。なお、先日はイタリアのメディアで「インテルが興味」と報じられた。

左SBは、トップタイの7アシストを記録しているフランクフルトのオツィプカ。左SHの乾が中央に絞り、オツィプカがサイドを縦に抉るというコンビネーションは、敵の右サイドに脅威を与え続けた。1対1やオーバーラップ後のリカバリーなど守備は荒削りだが、それを補って余りある攻撃性能を持つ。

CBは、フライブルクのディアネとギンター(あるいはフルム)のコンビ。このポジションに限り、個々の輝きでなく“コンビ”としての輝きを評価した。フライブルクの堅守は、チーム全体の守備意識の高さや中盤の底に位置する2人のMFの貢献も大きいが、23歳(ディアネ)と18歳(ギンター)、25歳(フルム)ら若いCB達の年齢に似合わぬ冷静な守備は欠かせない。

ギンターは負傷で9節以降を欠場しているが、もし無事であれば今頃は国内外のビッグクラブから熱視線を集めていた可能性もある。地上での1対1の勝率65.4%も高く評価できる。ディフェンスリーダーのディアネは、地上と空中の1対1の勝率が6割近い。15試合でイエローカードは2枚、1試合あたりのファウル数も1を切っており、クリーンでクレバーな守備が持ち味だ。

中盤はダイヤモンド型とし、その底にはフランクフルトのロデを配す。自陣から前線まで広範囲をカバーする「Box to Box」タイプで、そのダイナミズムがフランクフルトの攻守を下支えしている。数字では「1アシスト」と目立たないが、彼の仕事は目に見えない部分で大きい。

右と左のSH、そしてトップ下は、フランクフルトの2列目に位置する3人。言うまでもなく、アイクナー(右SH)、乾(左SH)、マイヤー(トップ下)だ。アイクナーは上質なオフ・ザ・ボール、乾は卓越したボールテクニック、マイヤーは地空を選ばぬ万能性でゴールを量産。それぞれ6点、5点、11点を奪取した。今季の独ブンデスリーガで最も破壊力のある“トリオ”だ。

2トップは、大怪我を乗り越えて覚醒したマインツのサライとポーランド1部からやってきたラトビア代表のルドニェフス。レアル・マドリーの下部組織出身のサライは、フィジカルの強さとシュートレンジの広さ、鋭い嗅覚を生かして17試合で9得点を挙げた。ルドニェフスは、ボールを引き込む技術が巧く、フィニッシュワークも精緻。ポーランド1部からドイツ1部へとゴールへの難易度が大幅に高まった中で、17試合6得点は立派だ。

“ファーストチョイス”からは漏れたが、レバークーゼンのカストロ、ボルシアMGのアランゴ、ハノーファーのフスティ、HSVのソン・フンミン、マインツのニコライ・ミュラー、ブレーメンのデ・ブルイネ、フライブルクのシュスター、クルーゼ、ニュルンベルクの清武、ティム・クローゼらを“次点”として挙げておきたい。

ダイヤの原石については、「非ビッグクラブ所属の23歳未満」で選出した。また、ベストイレブンに挙げた選手は除き、「今後、化ける可能性がある」という観点から紹介する。

1人目は、マインツのショーン・パーカー(19歳)。ボールを持ってからの仕掛け、オフ・ザ・ボールの質が高い。相手の最終ラインとの駆け引きも巧みで、いやらしい位置でボールを受けられる。フィニッシュワークに力強さが出てくれば、ゴールは増えてくるだろう。なお、当ブログでは以前にも紹介している。興味があれば、そちらも参照して欲しい。

2人目は、ホッフェンハイムのフォラント(20歳)。7つのアシストを記録し、1860ミュンヘンの下部組織時代からの評判が正しかったことを証明した。ボールを持つと、何かが起きる。そんな雰囲気を漂わせられる稀少な選手だ。巧緻なボールスキルと急所を穿つパスで、幾度となくチャンスを創り出してきた。

シュツットガルトは非ビッグクラブではないが、ホルツハウザー(19歳)を押さえておきたい。193cmと大柄ながら、トップ下やサイドでプレーするテクニシャン。鈍重さは感じず、ダイナミックに持ち上がる。決定的な仕事が少なく、消えている時間も多いが、どう育つか見てみたい存在だ。

他にも取り上げたい選手は沢山いるが、これくらいにとどめておこう。今後へのストックも必要だ(笑)。

○日本人選手のパフォーマンス

現在、独ブンデスリーガでは9人の日本人がプレーしている。その一覧と独ブンデスリーガ公式サイトに基づくスタッツを画像にまとめた(並びは五十音順)。これを見ながら、個々の前半戦を振り返る。

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乾貴士は、1部初挑戦ながら堂々たる結果を残した。全試合に先発し、5得点3アシスト、そして70回のチャンスをつくり出した。左サイドを基本ポジションにしているが、中央寄りにポジションを取り、ボールを受ければ果敢に仕掛ける。コンディションが良い時のドリブルは止められず、シュートも正確。ファイナルサードで怖さを発揮できる、稀少な存在だ。ただ、トラップやパスでミスを連発し、試合から完全に消えてしまう日も少なくない。とりわけチームが劣勢時に目立つ。どんな時でも一定の働きができる「継続性」が課題だ。

宇佐美貴史は、序盤戦こそ圧巻のドリブルスキルで存在感を放ち、得点も挙げたが、チームの不振に巻き込まれるように失速。徐々に信頼を失うと、ついに先発の座も失った。バベル監督の退任後は、序列も下がってしまったようだ。クラマー暫定監督は語学力の問題を指摘するが、それだけではないはず。地上戦での高い1対1の勝率が示すようにボールを持てば輝くが、それ以外では貢献できない――。この忌まわしきレッテルが、彼にはまとわりつく。オフ・ザ・ボールの磨き上げをはじめ、味方との連携の深化など、多くの努力が求められる。

内田篤人は、怪我に悩まされた。元々、コンディションの上昇に時間がかかるタイプ。ようやくボールタッチが安定し――ボールタッチの安定度は彼の調子を見極めるバロメーターだ――、守備でも踏ん張りが利くようになったタイミングで負傷し、ゼロからの再出発を余儀なくされたのは不運だった。解任されたステフェンス監督と同様、ケラー暫定監督も彼を右サイドバックのファーストチョイスと考えている。まずはフィジカルコンディションを整え、その後は低水準のクロス精度を高めて、期待に応えたい。

岡崎慎司も、怪我に祟られた。離脱中にギニア代表のトラオレが台頭し、出番はヨーロッパリーグ中心に。そこでゴールを挙げ、リーグ戦で先発起用された“チャンス”も、空回りで逃してしまった。監督や首脳陣からは献身的な守備などゴール以外の寄与を評価するが、一方で日本代表での姿と比較して得点力の物足りなさを指摘する。だからこそ、ウインターブレイク中にFWを獲得しようとしているのだろう。幸い、中断期間のキャンプでは好調で、ゴールを積み重ねているだけに、後半戦の爆発を祈りたい。

清武弘嗣は、ドイツ初上陸とは思えないほどのインパクトを与えた。得点にアシストにフル稼動。中でも精度の高いプレースキックは、ニュルンベルクで最大の得点源となった。アシスト数、チャンス創出数、クロス成功率は日本人でトップ。リーグ全体でも優れている。チームとして彼にボールを集める形が確立されれば、もっと数字は伸びるはず。ヴィージンガーとロイタースハーンの二頭体制の手腕が問われる。

酒井高徳は、五輪代表とフル代表の掛け持ちで疲弊し、コンディションを落として序盤戦はミスが目立ったが、試合を経るごとに盛り返し、不動のレギュラーの座に就いた。パス成功率、クロス成功率、1対1の勝率とも優秀。シュツットガルトがアルビレックス新潟から保有権を買い取ったのは当然だ。あとは手を使ったファールを減らしたい。

酒井宏樹は、苦戦を強いられている。クラブ側は3年計画で育てる方針で、タイミングを見計らってプレー機会を与えているが、つまらないパスミスや軽率なボールロストでフイにしてきた。日本時代は気迫を前面に出すプレーが良い方向に働いていたが、ドイツでは空回りしている感が否めない。空中戦の勝率の高さが示すように、フィジカルは通用しているだけに、判断の速さと質などフットボールIQや精神力の強化が急務だ。

長谷部誠は、マガト政権下の冷遇を過去の記憶にしつつある。ケストナー暫定監督の就任直後に先発復帰すると、フォア・ザ・チームの鑑とも言うべきプレーで右サイドを活性化させた。データに残る数字も悪くない。右サイドバック、右サイドハーフ、中盤の底、どのポジションもソツなくこなす彼を、チームメイトも高く評価する。追いかける展開では最初に代えられてしまうように、攻撃面での信頼感はイマイチだが、それは“ないものねだり”。ウインターブレイク中にヘキンク監督に代わったが、後半戦の起用法に注目が集まる。

細貝萌は、着実に評価を高めている。当初はベンチウォーマーだったが、左サイドバックのレギュラーを務めていたカドレツの負傷離脱でチャンスを得ると、アグレッシヴな守備と的確な繋ぎで“昇格”。ファーストチョイスとなった。チーム状況に応じ、右サイドバックや中盤でも出場機会を得ており、もはや欠かせない主力と言っていい。アウクスブルク時代から賞賛されているハードマークは、今やトレードマークになったが、マイスターシャーレを争うレベルの強豪では、攻撃力も重視される。その点では目立たず、カドレツの負傷が癒えた今が正念場。アウクスブルク時代の得点力を呼び覚ましたい。

(以下、次回へ続く)
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