08 | 2017/03 | 09

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第2回~快・進・撃~ 

ウンターハヒンク日記


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小包の封を切ると、中から慣れ親しんだ匂いが漂ってきた。

何とも表現しにくいが、甘ったるく、鼻腔にまとわりつくような濃さとでも言おうか。

紙とインクの織り成す独特の匂い。それをまとい、顔を覗かせたのは、日本のフットボールマガジンだった。

表紙の左下には、白い字で「異国で挑む~独逸が注目する若手指揮官~」と書かれている。

その特集の1コーナーが、愛すべき日本から初めて受けた仕事の“証”だった。

こちらの粗雑なつくりとは違う、几帳面な日本人らしい整った体裁の雑誌をめくりながら、まずは目当てのページへと急いだ。

◇  ◇

黄金時代への扉が再び開く――。

ウンターハヒンクが“奇跡の進軍”を続けている。11月27日に一巡目を終了した3部リーグで首位を独走。19戦17勝1分1敗と驚異的なスピードで勝ち点を積み上げ、2位との勝ち点差はすでに20に達した。現在はリーグの無敗記録を更新中だ。42得点、14失点は共にリーグトップ。最強の矛と盾を携え、覇道を突き進む。

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首位を独走するウンターハヒンク。脅威的なスピードで勝ち点を増やしている

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1分を挟んで9連勝中


○若手を抜擢

昨季14位からのジャンプアップ。その最大の立役者は指揮官に他ならない。経営再建中で満足な補強費を得られない中、若手を積極的に抜擢してチームを強化。da Costa(レバークーゼンからローン)、Vollmann(1860ミュンヘンからローン)、Drum、Avdic、Ziegler、Hummelsら、レギュラーポジションを掴んだ二十歳前後の俊英は、衆目を驚かせるほどのハイパフォーマンスを披露している。

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サイドからチャンスをつくるVollmann

この活躍に“あてられた”中堅も奮起。左サイドバックのStegmayerは精確なクロスで「リーグ最高」と讃えられ、プレーメーカーという新たな役割を任されたSterniskoは好パスを連発し、Prokophはゴールを量産している。

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現在、チームトップの7アシストを記録しているStegmayer

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チーム最多の11得点を挙げ、リーグの得点ランキングでも3位に入るProkoph

また、Jarosch、Bloudek、Zinnowといったフリーで獲得した選手達も、それぞれが経験を生かして“若さ”を補填した。

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両サイドバックをこなすJarosch

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右サイドで好クロスを連発するZinnow

分け隔てなく、練習や試合で結果を出した選手を先発に据える起用方法も、選手のモラルを高めている。これまでのリーグ戦とカップ戦で、トップチームの全員が出場。出番を得られずにモチベーションを下げる選手など皆無だ。健全かつ熾烈なレギュラー争いによって、個々の成長力にも弾みが付いている。

若手がのびのびとプレーし、中堅が引っ張り、ベテランが支える。レギュラーの座に胡坐(あぐら)をかく者もいない。こうした好循環が、選手の力量を最大限に引き出している。

○確かな戦術眼

戦術眼も確かだ。就任直後から取り組む4-1-3-2の布陣から繰り出される、激しいプレスでボールを奪取し、素早く縦を突いてゴールへと迫るダイナミックなスタイルは、攻守で相手を圧倒。得点は1試合に2点以上、失点は1試合に1点以下と隙がない。

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基本布陣である4-1-3-2とレギュラーメンバー

攻撃は、中盤の中央に構えるDrumとSterniskoから始まる。粘り強くボールホルダーを追い込み、鋭く寄せて奪うと、丁寧なパスをサイドに展開。突破力に優れた両翼は、良質なクロスを供給するサイドバックと連携して縦を抉り、高い決定力を持つ2トップにフィニッシュワークを委ねる。

2トップのファーストチョイスは8得点のTunjicと11得点のProkophだが、得点以外での貢献も目立つ。共に利他的なメンタリティを持ち、Tunjicはドリブルで、Prokophはクロスで、チャンスメイクにも参加。Tunjicは3回、Prokophは2回、アシストを記録している。いわゆる「崩しの局面」での流動性とバリエーションの豊富さは、このチームの強みだ。

加えて、セットプレーも武器となっている。直接的にゴールを狙えるキッカーこそ不在だが、180cm台後半から190cmを超える長身選手には事欠かず、彼らの“頭”は一撃必殺の威力を持つ。中でもZieglerは4得点を挙げており、FW陣に次ぐ“アタッカー”となっている。

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Zieglerの高さは大きな武器に

さらに、スーパーサブの存在も心強い。全て途中出場で7点を決めているNiederlechnerだ。しかも、7点のうち半数以上は決勝点。「登場すると何かが起きる」という雰囲気が漂う。本人は「本音を言えば、先発で出たい」と苦笑するが、同時に「今の使われ方で多くのゴールを挙げられているし、チームを助けられている。ヒーロー気分を味わえているから、監督の選択に不満はないよ」と充足感も口を突いた。味方には勇気を、敵には不安をもたらす“ジョーカー”として、ゴールの量産を誓う。

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「まさにスーパーサブ」と賞賛されるNiederlechner

一方、守備はフィールドプレイヤーの10人が連動して高い位置からプレッシングをかける。攻から守、守から攻への切り替えを速める狙いに他ならない。当初はロングボールで外され、最終ラインを一気に破られるシーンも少なくなかったが、散集のスピードや囲い込みの練度は試合を重ねるごとに上がり、徐々に減りつつある。

もちろん、守備陣にタレントが揃っているのも事実だ。センターバック、サイドバックの質と量は他の追随を許さない。誰が出場しても、堅守を保てるだけの顔ぶれが揃っている。ただ、失点を低く抑えられているのは、チームに根付く守備意識の高さだろう。

当初の戦術の熟成と並行して、「戦い方の幅を広げるため」(暁監督)のトライも進めている。アウェイで採用する頻度が増えている4-2-3-1がそれで、Prokophの3試合出場停止がきっかけだった。中盤の数的優位を保つとともに、2列目が果敢に飛び出し、相手の守備ラインを打通する。

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アウェイで用いられる機会が増えてきた4-2-3-1。やや変則的だ

同布陣を初めて使用した試合でBloudekが2ゴールを叩き出すなど、意図通りの形も見られた。1トップとの連携には課題を残すものの、いずれは貴重なオプションになりそうだ。

○宿願の達成へ

目下、日本人監督に率いられたウンターハヒンクの視界には一点の曇りもない。早くも「昇格は間違いない」という声が聞かれ始めた。

シャルケを延長戦の末に破り、2部で首位を走るアーヘンに肉薄するなどDFBポカールでの快挙も、輝かしい未来への期待を膨らませる。

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2回戦敗退も、インパクトを残した

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ドイツ中を驚かせた、延長戦の末のシャルケ撃破

とはいえ、他クラブの研究が進む二巡目に、今のペースで勝ち点を伸ばせる保証はない。指揮官も「まだマラソンで言えば折り返し地点。何が起きるか分からない」と気を引き締める。

昨季の14位からのジャンプアップは揺るぎない。しかし、宿願の昇格には、なお長い道のりが待っている。


Unterhaching 2011-12
NameAgePosition RatingMatchGoalAssistMemo
Stefan Riederer25GK6.7917
Korbinian Muller20GK6.903
Sebastian Wolf18GK6.601
Danny da Costa18D(RC)7.251211loan
Markus Schwabl21D(RC),WB(R)7.35102
Michael Stegmayer26D(RL),WB(L)7.371517
Stefan Jarosch27D(RL),WB/M(R)7.071011
Michael Vitzthum19D(LC),WB(L)7.75512
Patrick Ziegler21D(C)7.32114
Jonas Hummels21D(C)7.19162
Alexander Winkler19D(C)6.8410
Maximilian Drum20D(C),DM7.03191
Yasin Yilmaz22DM,M(C)6.7571
Roland Sternisko23DM,M/AM(C)7.03195
Yannic Thiel22DM,M/AM(C)6.82101
Marcel Avdic20M(RL),AM(RC)7.171635
Sascha Bigalke21M(L),AM(RLC)7.121625
Stefan Zinnow31M/AM(R)7.00712
Kobinian Vollmann18M/AM(RL)7.271716loan
Sandro Bloudek25M/AM(C)7.111122
Roman Prokoph26ST7.2418112
Mijo Tunijic23ST7.051983
Florian Niederlechner21ST6.992171
※19節終了時点。個人記録はリーグ戦とカップ戦のトータル

◇  ◇

私が受けたのは「ウンターハヒンクがどういうチームなのか。そして、その躍進に日本人監督がどう寄与しているのかを書いて欲しい」という依頼だった。

日本人のブンデスリーガ―を追って多くのライターがドイツに常駐する今、よもや私に声がかかるとは思わなかったが、あのインタビューのお陰だろうか。

いずれにしても望外の喜びだった。あれほどワクワクしながら書いたのは久々だ。

もっとも、筆が乗り過ぎた反動で、やや内容がディープになり過ぎた感は否めない。過去に1部にいたとはいえ、現在は3部のクラブ。「大幅なリライトを要求されるかもしれない」と気付いたのは、原稿を送った後だった。

しかし、返ってきたのは「全く問題ありません。むしろ専門誌の読者には、いわゆる『マニア』も多く、掘り下げた記事の需要は多いのです」という答えだった。

さらに「これから2部、1部へと駆け上がっていくかもしれません。それほどの機運を感じます」と“予言”する。

歴史的な独走も、終わってみれば――という結末は、世界中が体験している。ウンターハヒンクも、先例をなぞるだけかもしれない。それは彼とて十分に理解しているだろう。

だからこそ彼の言葉に驚きを隠せなかった。しかし、未だ経験のない日本人「監督」の立身出世という夢物語には、この上なく甘美な味わいがある。熱にあてられるのも無理はない。

「シーズン終了後、優勝原稿を書いてもらえるのを楽しみにしています」

最後のページに貼り付けられていたメモを苦笑いしながら剥がし、机の上のよく見える位置に移す。どうやら、独逸人である私ですら、逆上(のぼ)せているのかもしれない。


次回へ続く!

---------- キリトリ -----------

<次回予告>

好調に沸くウンターハヒンクだが、毎月の赤字は数千万円にのぼり、負債は1億5000万円を超えた。

今季で契約が切れる選手の中には多くの主力がいる。資金難では契約延長も進まない。

ひたひたと忍び寄る暗い影。

全てを解決できるのは、昇格という魔法のみ。

高まるプレッシャーが、若き監督を苛む―。

---------- キリトリ -----------

<編集後記>

長らく、お待たせ致しました。第2回です。

欧州選手権2012を観ているうちにFM熱が燃え上がり、一気にゲームを進めました。実は、すでに残り1試合まで来ています。どうなったのか、なるべく早くお伝えしたいと思っていますが、さてさて。

ウンターハヒンクは、はっきり言って強いです。メディア予想は7位でしたが、対戦相手を見ると個々の能力のトータルでは全く負けていない。むしろ上位に入ります。もちろん、いくつかのクラブには、うちにはいないレベルの選手もいますが。よって、きちんとコンディションを整え、当たり前の戦術を使えば勝てます。

この成績を見ると「リセット」という魔法(と書いてチートと読む)を疑われるかもしれませんが、もちろんしていません。戦術もオーソドックスです。4-2-3-1も、3人いるFWのうち誰かが怪我や出場停止で不在の時だけ。ホームであろうとアウェイであろうと同じ4-4-2でスタートし、点が欲しい時には簡易支持で「攻撃的に」と指示する。これしかしていません(苦笑)。

それで勝てる。恐らく、負けないからモラルが下がらないというのも大きいです。モラルの高低はパフォーマンスにかなり影響するように感じますしね。

あとは怪我人の少なさ。設備はたいして整っていませんし、3部のクラブですから指導者の管理能力なども高くありませんが、練習ではほとんど怪我をしません。メニューはポジション別に私が作っていますが、それほど軽くないんですけどね。試合中の怪我も幸いに少なく(ちなみに私は軽傷のマークが出たら直ぐに交代します)、負傷退場してもコンディション低下で済んだというケースも多々あります。表示されない能力である「怪我のしにくさ」が高い選手を多く抱えているのかもしれませんね。

個々の能力の高さと怪我の少なさ。これが好調の主な要因です。

相変わらず文字ばかりでFM日記っぽくないですが、もし宜しければ次回も読んで下さい。

追伸:シャルケ戦の勝利は、本当に劇的で思わずPCの前で小躍りしてしまいましたw こういう試合は滅多にありませんが、FMの醍醐味ですよね。
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コメント

さすがの手腕ですね

これはすごい。
昇格めざしてがんばってください。
(っていうか結果は出てるのかw)
気になる選手は、Niederlechnerでしょうか。
能力だけ見るとスーパーサブに見えないんですけどねえ・・・
スーパーサブになることを期待してdetermination高い選手をいつも探す自分の前提が崩壊しますwww
自分はもうEUROでおなかいっぱいで、あまりゲームに気が向いてないですww
五輪も始まるし、しばらく観戦&観ブログで満足するつもりですが、
そのうち変な企画で日記再開するかもしれません。

ご無沙汰しております

>Rakkyo様

コメントありがとうございます。また、ちょくちょく覗いています。いつかの再開を楽しみにしながら。

さて、当日記についてですが、結果は出来過ぎな感が否めません。これほどの連勝は経験にありませんし。自分の実力とは思えませんし(なにせ適当にプレーしてますからw)、何なんでしょうね(苦笑)

Niederlechnerは私も謎で、この能力設定でなぜ途中出場でゴールを量産するのか分かりません。メンタル面も優れていませんし。たまたま、そういう使い方をしているうちに劇的なゴールを重ねるので、今ではスーパーサブとして起用しています。プレーを見ていると、両利きらしいシュートレンジの広さが目に付きますが、先発で起用したら量産するかもしれませんね。

結果はもう出ていますし、それも想像が付くかと思われますが、次回も読んで頂けると幸いです。

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