03 | 2017/04 | 05

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こうして飛ばし記事は生まれる 

今宵はちょっと変わった企画を。題して「現役記者が解説する“飛ばし記事”のできるまで」。今日、巷を騒がせたサンスポの記事「川崎、ロナウジーニョ獲りに興味」が、いったいどういう過程で誕生したのか。それを記者目線で解説します。あくまで推測なので、苦情は止めて下さいね。

さて、まずはどんな記事だったかというと――。

J1川崎が来季の補強の目玉として、ブラジル代表FWロナウジーニョ(31)=フラメンゴ=を獲得する可能性が31日、浮上した。
 
チームの強化担当者が「ロナウジーニョは今、フラメンゴ? 彼みたいなベテランを獲得するという考え方もある」と明言した。クラブは10月中旬からブラジルへスカウト陣を派遣。11月9日の帰国まで来季に向けた補強活動を進めており、ロナウジーニョ側と交渉する可能性が出てきた。

ただ、巨額マネーが必要になる。今年1月にACミランからフラメンゴに移った際には、推定300万ユーロ(約3億2700万円)の移籍金が支払われた。獲得は困難を伴うが、同担当者は「最初の数試合で元が取れるのではないか。鹿島に大物外国人が入団したときも、そうだったと聞いている」と説明した。

国際サッカー連盟(FIFA)最優秀選手賞に2度輝いたロナウジーニョは10年南アW杯で代表から漏れ、全盛期に比べれば衰えは隠せないものの、ことし9月に代表復帰を果たした。具体的な交渉は未定だが、川崎のロナウジーニョが誕生すれば大きな話題となりそうだ。



斜線部が、サンスポの記事になります。

まず、注視しなければならないのは、

チームの強化担当者が「ロナウジーニョは今、フラメンゴ? 彼みたいなベテランを獲得するという考え方もある」と明言した。

という箇所です。

決して、

「ロナウジーニョを獲得するという考え方もある」

ではありません。

「彼みたいなベテランを獲得するという考え方もある」

なのです。

さらに、ロナウジーニョの名が出たのも“誘導”の可能性があります。

そもそも、この記事から読み取れる事実は

「10月中旬からブラジルへスカウト陣を派遣し、11月9日の帰国まで来季に向けた補強活動を進めている」

だけです。

ただ、それでは記事にならない。

そのため、記者は雑談を装った「誘導尋問」を繰り出したのではないでしょうか。

「ブラジルといえば、最近は欧州のトップリーグでプレーしていた選手が続々と母国のクラブに戻ってきていますよね。例えばロナウジーニョとか」

これに対して、強化担当者が

「そういえば彼も今はブラジルでプレーしていたよね。どこだっけ?」

と返します。

そして記者は

「フラメンゴですね」

と答えます。

すると、強化担当者が

「今、フラメンゴ? 彼みたいなベテランを獲得するという考え方もあるよね」

などと言うこともあるでしょう。

あくまで一般論として。

しかし、記者はその“言質”を逃しません。取材対象者の一言から拡大解釈して、一つの面やページを埋められるのが記者の記者たるゆえんです。

空想話に花が咲いて「(仮に多額の違約金を支払っても)最初の数試合で元が取れるのではないか。鹿島に大物外国人が入団したときも、そうだったと聞いている」なんて“餌”を与えてしまったのも強化担当者にとっては不運でした。

ただし、これらを都合よく解釈してダイレクトに記事を書いてしまうと、今後の取材活動に響きます。最悪、取材を拒否されるかもしれません。

そこで、抗議された際の“逃げ道”を用意しておくのです。

この記事で言えば、

「ロナウジーニョ側と交渉する可能性が出てきた

具体的な交渉は未定だが

という文言が該当します。

可能性を語るのは自由ですからね。交渉に移るかどうか、実現するかどうかは別問題。こうして、飛ばし記事は生まれるのです。
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コメント

Re: こうして飛ばし記事は生まれる

タイトルからして飛ばしだなとは思いますが、どうやったらこんな飛ばし記事が書けるのか!?
現役の記者さんならではの視点で説明されていて、わかりやすかったです。

今回の話とは異なりますが、中日ドラゴンズの球団幹部がチームが負けてガッツポーズしたと某スポーツ新聞が報じたものの、それが事実に反していたことが後にわかり、そのスポーツ新聞は謝罪しました。

格好のネタになると思ったら、小さな事実を必要以上に大きく書いたり、下手すると事実に反することまで書いてしまう。
もちろん書き手に問題があるわけですが、読む側も注意して読まなければなりませんね。

Re: こうして飛ばし記事は生まれる

なるほど、こうやって記事は<作られる>んですねw

少し話は変わりますが、以前、サッカーダイジェスト(2010/1/5,12号)で、オシム氏が、
「日本にはビッグクラブというものがない。ロナウジーニョを連れてきてチームの柱にするようなチームがあってもいい」
と言っていたのを思い出しました。
清水のユングベリもビッグネームでしたが、有名選手が獲れるぐらいに経営力と知名度とやりがいのあるリーグに育ってほしいと思います。
FMでそれに挑戦したことがあるのですが、ロナウジーニョやロベカルを浦和にもってこようとしても知名度で断られましたw
結局きてくれたのは元カメルーン代表のウォメだったっていうwww
それでも現実なら十分話題にはなるでしょうが(2002W杯での知名度はあるので)
そういうプレイ日記をじっくり挑戦してみるのもいいかもしれませんね。
次回以降の候補にしよう、と今回の記事をみて考えてました。

読み手の防衛も大切ですね

>どらぐら様

最近は、国民のメディアリテラシーが総じて高まり、明らかな飛ばし記事に対してはスルーできるようになってきましたよね。むしろ、それをイジる余裕も生まれてきている。これは歓迎できる状況です。

一方で、書き手は相変わらず「刺激」を重視し、勝手な改変を行います。いずれ、見放されてしまう可能性を考えずに。少しずつは変わっているとは思うんですけどね・・・。

中日の件も、そういうことだろうと見ていました。功名心というか何というか、嘆かわしいですね。

いずれにしても、読み手の眼がどんどん厳しくなる中、今後は書き手の力が見透かされていくと思います。装飾の力でなく、きちんと素材を吟味して、味付けする。それが記者の仕事のはずです。

そういうプレー日記も手ですね

>Rakkyo様

記事というのは「作られる」のであって、ただ「報じられる」わけではないですからね。書き手の思惑をきちんと見抜かなければなりません。それがメディアリテラシーですよね。

さて、「日本に大物をどう呼ぶか」というテーマ、そして呼べた場合にどういう効果が得られるかというのは、検討に値すると思います。費用対効果がプラスならば、Jのクラブも投資していいのかなと。そういう意味で、ユングベリがピッチ内外にもたらす清水への影響は、注目しています。

また、FMのプレー日記のそういう形も面白いですね。私は、2011以降は日本を導入していないのでできませんが、もしRakkyoさんが始めるならば、全力で応援させて頂きます!

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