05 | 2017/06 | 07

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【完成】Jクラブの決算を読み解く・4 

先ごろ公開された2010年度Jクラブ個別情報開示資料を基に、各クラブの経営状況を分析する連載の最終回です。

※参考資料=http://www.j-league.or.jp/release/000/00004106.html

前回は、広告料収入を通して、各クラブの経営基盤の強弱について説明しました。今回は、「人件費」、「営業利益」、「経常利益」、「当期純損益」がキーワード。これらを通じて、経営に長けたクラブと危機的な状況にあるクラブが浮かび上がります。

まず、人件費についてです。人件費は、選手やスタッフの年俸などで構成されており、年俸が優秀さの指標の一つと捉えれば、総額が高いほど優秀な選手が揃っています。

○人件費ベスト5

1位 浦和 22億8200万円(営業収入に占める人件費の割合=40.1%) ▲1億8200万円
2位 名古屋 21億3300万円(48.7%) ▲2億1700万円
3位 鹿島 20億400万円(40.6%) △9100万円
4位 大宮 18億5000万円(55.93%) ▲1億400万円
5位 G大阪 17億7300万円(53%) ▲4億4200万円。

ベスト5のうち浦和、名古屋、鹿島、G大阪は、一般的に「タレントが豊富」と言われるクラブで、やはり人件費も高くなっています。大宮も、ラファエルやイ・チョンスといった外国人選手を抱えている上、近年は国産選手の補強にも積極的で、4位にランクイン。ただ、人件費が高額な割に成績は伸び悩んでおり、費用対効果の面では非常に物足りません。

Jクラブの営業収入は総じて減少傾向にあるため、総じて各クラブは人件費の圧縮に努めています。大幅に減らしたのは大分(8億7200万円)、東京V(6億9700万円)、千葉(2億300万円)、札幌(1億9900万円)、浦和(1億8200万円)、FC東京(3億9800万円)、川崎(2億800万円)、新潟(1億2800万円)、磐田(3億2800万円)、名古屋(2億1700万円)、京都(1億9500万円)、G大阪(4億4200万円)、神戸(3億7800万円)など。大分や東京Vなど経営破綻の瀬戸際に立っている(立った)クラブの数値からは、必死さが窺えます。

一方、鹿島が9100万円、山形が2億1800万円、横浜FMが2億900万円、湘南が2800万円、清水が1億2000万円、C大阪が2億1600万円、広島が5900万円、栃木が3100万円、草津が500万円、横浜FCが2億1500万円、富山が3100万円、岐阜が3000万円、岡山が9100万円、徳島が3300万円、愛媛が1300万円、熊本が2500万円と、36クラブ中16クラブは前年から増加。うち9クラブがJ2で、J2の強化意欲は旺盛です。

ちなみに、プロフットボールクラブにとって、人件費は5割程度に抑えるのが理想とされています。そういう意味で危険なのは、山形(64%)、大宮(56%)、名古屋(52%)、京都(56.6%)、G大阪(53%)、神戸(57.4%)、広島(52.7%)、千葉(58.5%)、柏(54.1%)、横浜FC(57.5%)です。

特に6割近い、あるいは6割を超えているクラブは、経営的な観点からは危険水域で、早急に改善の必要があります。


最後に、企業の業績を判断できる「営業利益」、「経常利益」、「当期純損益」についてチェックしていきましょう。

○営業利益ベスト5

1位 FC東京 3億9700万円 ※前期も営業増益
2位 磐田 2億5000万円 ※前期も営業増益
3位 仙台 1億7800万円 ※前期は1億2200万円の損失
4位 大分 9000万円 ※前期は3億2800万円の営業損失
5位 徳島 5500万円 ※前期は1200万円の営業損失
6位 川崎 4700万円 ※前期も営業増益

営業利益は、簡単に表せば「本業で幾ら儲けたか」です。入場料収入や広告料収入、グッズ収入、テレビ放映権などの収入から人件費などの経費を引き、残った金額と捉えて下さい。その金額がプラスになった、つまり「営業増益」だったのは、鹿島(4期)、大宮(4期)、川崎(6期)、磐田(2期)、横浜FC(2期)、甲府(6期)、熊本(3期。ただし、08年度からの公開のため07年度は不明)です。

カッコ内は何期(何年と言い換えてもさほど意味は変わりません)連続で営業増益になっているかを示しますが、Jリーグが公式に発表しているのは2005年度実績からのため、川崎と甲府には7期以上の営業増益の可能性があります。

これらから分かるのは、川崎と甲府の業績は非常に良好だということです。6年以上、ずっと本業で儲けているわけですからね。とりわけ、J2降格を挟んでいる甲府の6期連続営業増益は快挙と言えます。


○経常利益ベスト5

1位 FC東京 3億9700万円 ※前期も増益
2位 磐田 2億6300万円 ※前期も増益
3位 仙台 1億9200万円 ※前期は9500万円の損失
4位 大分 1億1200万円 ※前期は3億2400万円の損失 
5位 徳島 6200万円 ※前期も増益
6位 川崎 4700万円  ※前期も増益

経常利益とは、営業利益に預金利息や保有株式の配当などを足し、借入金の返済などを引いて出る、企業が本業と本業以外で得た収入・支出の差し引きのことです。日本では、この経常利益で「優良企業かどうか」を判断する傾向にあります。

連続の経常増益は、鹿島(4期)、大宮(4期)、FC東京(2期)、川崎(6期)、G大阪(6期)、甲府(6期)、徳島(3期)、熊本(3期。ただし、08年度からのため07年度は不明)の8クラブ。営業利益と同様、Jリーグが公式に発表しているのは2005年度実績からなので、川崎とG大阪、甲府は7期以上の経常増益の可能性があります。この3クラブは、文字通り優良経営です。

ただし、経常利益が黒字でも、そこから特別利益(固定資産売却益、投資有価証券売却益、引当金戻入益など)および特別損失(固定資産売却損や除却損、資産の減損評価時の評価損など)を加減し、税金を支払うと、赤字になってしまうことが多々あります。最終的に1年間の損得を知るためには、「当期純損益」を見なければなりません。

○当期純損益 

<ベスト5>

1位 FC東京 3億6100万円 前期も黒字
2位 磐田 2億900万円 ※前期も黒字 
3位 仙台 1億9200万円 ※前期は9800万円の赤字
4位 大分 1億1500万円 ※前期は6億1600万円の赤字
5位 福岡 3300万円 ※前期は1億900万円の赤字

2期以上の連続黒字は、鹿島(4期)、FC東京(2期)、川崎(6期)、新潟(2期)、磐田(2期)、G大阪(6期)、横浜FC(2期)、甲府(5期)、徳島(3期)、鳥栖(3期)、熊本(3期。ただし、08年度からのため07年度は不明)です。川崎とG大阪は6期連続の黒字(7期以上の可能性がある)で、営業利益や経常利益の項目に書きましたが、高収益体質と言えます。より卓越した収益構造を有するのは、営業益、経常益とも6期以上連続増益の川崎です。


<ワースト5>

1位 東京V ▲3億6300万円 ※前期は100万円の黒字
2位 横浜FM ▲3億4100万円 ※前期は3600万円の赤字
3位 千葉 ▲3億1200万円 ※前期は6億3800万円の赤字
4位 広島 ▲2億6500万円 ※前期は1200万円の黒字
5位 浦和 ▲2億6000万円 ※前期は600万円の黒字

2期以上の連続赤字は、横浜FM(6期)、湘南(3期)、京都(2期)、神戸(6期)、札幌(3期)、草津(2期)、千葉(3期)の7クラブ。横浜FMと神戸は6期以上の可能性があり、赤字体質から抜け出せずにいます。特に、横浜FMは2005年度に48億2200万円だった売上高が、10年度には35億6500万円にまで減少。収入が減り続け、支出も減らせておらず、かなり深刻です。神戸は売上高が微増で、コスト削減も進めていますが、なお黒字化には届いていません。

経営の深刻さを、もっと如実に表す項目があります。それは「繰越利益剰余金」です。小難しい表記ですが、単に「借金がどれくらいあるか」と受け取って頂いて構いません。

○繰越利益剰余金ワースト5

1位 京都 ▲38億3300万円 ▲2億5100万円
2位 広島 ▲20億2900万円 ▲2億6500万円
3位 大分 ▲15億8900万円 △1億1500万円 
4位 札幌 ▲8億9200万円 ▲1億1800万円 
5位 鳥栖 ▲7億100万円 △100万円

京都や広島は、すでに企業としての体を成していません。一般的な企業であれば、倒産しているはずです。大分も、かなりの危険水域です。札幌、鳥栖も売上高からすれば著しい債務超過で、この5クラブについては将来が危惧されます。もちろん、健全化に向けて八方手を尽くしているのでしょうが、よほどの天恵――超大型スポンサーが――先行きは暗いと言わざるを得ません。

以上、4回に分けてJクラブの決算を分析してきました。真に経営力の優れたクラブ、あるいは経営に問題を抱えているクラブが、数字からは見えてきます。

来年は、さらに内容をブラッシュアップして、より深くJクラブの実像に切り込んでいければと思っていますので、その時はまた宜しくお願い致します。
スポンサーサイト

コメント

Re: Jクラブの決算を読み解く・4

甲府は過去に経営危機を迎えたことがあるのですが、その最大のピンチを乗り切り、地方クラブでありながらうまくやり繰りしていますね。

神戸は“三木谷マネー”で負債を帳消しにするらしいですが、こういう太っ腹な会長がいるのは日本では珍しい!?
ただ、三木谷さんの影響力の強さが逆にマイナスに働かなければ良いのですが・・・。

京都や広島は大企業がスポンサーについていても、繰越利益剰余金のマイナスがこれだけの金額にまでなってしまうのですね・・・。

神戸と言えば

>どらぐら様

甲府は、経営者の偉大さと、スタッフの奮闘によって、着実に体力を増強していますね。ちょっとやそっとでは揺らがないと思います。

それから神戸ですが、どうやら三木谷さんからの援助はなくなったようです。サッカー批評かフットボールサミットかで現社長が言っていました。独立採算制になったのは、恐らく2010年度からで、この決算からも自主・自立で立て直そうという努力が窺えます。

なんて書いていて、違ったら申し訳ありませんが・・・。

京都と広島は、通常の企業であれば破綻しているはずで、かなり心配です。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。