07 | 2017/08 | 09

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Jクラブの決算を読み解く・2 

先ごろ公開された2010年度Jクラブ個別情報開示資料を基に、各クラブの経営状況を分析する連載の第2回です。

※参考資料=http://www.j-league.or.jp/release/000/00004106.html

前回は、10年度を黒字で終えたクラブと赤字で終えたクラブ、そしてそれぞれの理由について解説しました。今回は、各クラブの収入を細かく見ていきます。収入が増えた・減っただけでなく、入場料および広告料の増減、さらには入場料や広告料にどれくらい依存しているのかを知ると、クラブの経営の実態が浮き彫りになってきます。

まずは、営業収入から。営業収入は、分かりやすく言い換えると「年収」です。当たり前ですが、増えるに越したことはありません。ただし、J2はリーグ戦の形式変更に伴い、ホームゲームが7~8試合減少しています。つまり、収入を得る機会が減ってしまったのです。J2に関しては、これを念頭に置く必要があります。

その上で各クラブの営業収入を眺めると、仙台、鹿島、横浜FM、湘南、C大阪(以上J1)、栃木、岐阜、岡山、徳島、鳥栖、熊本(以上J2)が前年を上回っています。収入源の減ったJ2で、6クラブが増収となったのは立派です。

伸び率は、仙台が33.5%、山形が5.7%、鹿島が1.3%、横浜FMが1.7%、湘南が20.8%、C大阪が14%、栃木が14%、岐阜が23.6%、岡山が8.8%、徳島が12.5%、鳥栖が20.7%、熊本が8.4%。J1に昇格した仙台、湘南、C大阪が前年に比べて2桁の高伸長を記録したほか、J2でも栃木、岐阜、徳島、鳥栖が大幅に売上げを増やしています。

収入が増えても、出費が増えれば赤字になってしまうので、ただ収入を増やせばいいわけではありません。実際、横浜FM、湘南は最終損益が赤字になっています。しかし、収入が増えれば出費の削減方法次第で黒字に近付けますし、そもそも収入を増やす(=スタジアムに足を運んでもらう、スポンサーに広告を出してもらう)のは簡単ではありませんから、増収を達成した11クラブの営業努力は評価すべきです。

次に、営業収入のベスト5を紹介します。

○営業収入ベスト5

1位 浦和 56億2500万円(▲12.6%、8億700万円減)
2位 鹿島 44億6600万円(△1.3%、5800万円増)
3位 名古屋 41億300万円(▲8.9%、4億300万円減)
4位 FC東京 36億7100万円(▲2.4%、9200万円減)
5位 横浜FM 35億6500万円(△1.7.%、6000万円増)

総じて減少傾向にあります。鹿島は前年の3位から2位に上がり、名古屋はリーグ優勝したにも関わらず2位から3位に落ちています。FC東京は最終的に降格の憂き目にあったものの前年の5位から4位にアップ、横浜FMは前年9位から5位に駆け上がりました。

後述しますが、横浜FMは前年に比べて入場料収入が1割、広告料収入が約7%増えており、中村俊輔というスター選手の獲得効果が大きかったと推察できます。逆に前年4位のG大阪は、入場料収入が約6%減となり、8位に順位を落としています。

営業収入の増減に続いて、その営業収入の根幹を成す入場料収入と広告料収入について見ていきましょう。

入場料収入が前年を上回ったのは、仙台、山形、鹿島、横浜FM、湘南、名古屋、C大阪、広島(以上J1)、草津、甲府、岐阜、徳島、福岡、熊本(以上J2)の14クラブでした。とりわけ徳島は前年の2倍以上(3000万円→7000万円)になり、湘南もJ1昇格効果で2倍近くに増えました。仙台やC大阪も前年の約1.5倍になっています。増加額は、仙台が2億4900万円、C大阪が1億5000万円です。仙台は元々J1クラスの入場料収入がありましたが、さらに伸ばしています。

入場料収入ベスト5は以下の通りです。

入場料収入ベスト5

1位 浦和 22億4900万円(営業収入に占める入場料の割合=39.98%) ▲2億1200万円
2位 横浜FM 9億3200万円(26.14%) △8600万円
3位 名古屋 8億8000万円(21.45%)△1億900万円
4位 仙台 7億9000万円(38.71%) △2億4900万円
5位 F東京 7億7900万円(21.22%) ▲4900万円

仙台は11位から4位に大幅に順位を上げました。名古屋も6位から3位にランクアップしています。一方、4位に終わった鹿島は5位から8位にダウンし、ベスト5から漏れてしまいました。入場料収入は、チームの成績によって左右されるので、やはりJ1昇格あるいは快進撃といった追い風があれば増え、J2降格あるいは低迷といった逆風があれば減ります。

それがよく分かるのが、下の「入場料収入増減」のランキングです。

○入場料収入増減ベスト5

<増加>

J1昇格という“特需”を除けば、地域密着策やイベントなどを通じた集客力が問われます。

1位 仙台 △2億4900万円
2位 湘南 △1億6900万円
3位 C大阪 △1億5000万円
4位 名古屋 △1億900万円
5位 清水 △1億500万円

昇格組以外では、名古屋と清水の健闘が光ります。名古屋はリーグ優勝、清水も途中まで優勝争いに加わっており、やはり好成績=好動員の方程式が働いています。また、ランク外ですが、3000万円から7000万円に増えている徳島は立派。増加率は断トツの前年比133%増です。

入場料収入の額で判断すると、どうしても収容可能人数に左右されてしまうので、増加率もチェックすべきです。

<増加率>

1位 徳島 133.3%
2位 湘南 88.5%
3位 C大阪 53.96%
4位 仙台 46%
5位 清水 15.79%

額と上位の顔ぶれはさほど変わりませんが、率では徳島が1位になります。徳島がどのような集客策を講じたのか、入場料収入が伸び悩んでいるクラブは参考にすべきでしょう。

伸び悩んでいるどころか、大幅に減ってしまったのは以下のクラブです。

<減少>

1位 浦和 ▲2億1200万円
2位 柏 ▲1億8300万円 
3位 千葉 ▲1億5100万円
4位 磐田 ▲1億300万円
5位 大分 ▲8200万円

柏と千葉、大分はJ2降格が仇となりました。磐田も、ナビスコ杯を優勝したにもかかわらず、低調な結果です。

減少率も見てみましょう。

<減少率>

1位 柏 ▲38.6%
2位 富山 ▲34.18%
3位 東京V ▲28.4%
4位 千葉 ▲25%
5位 磐田 ▲20.2%

J2降格組を除くと、富山、東京V、磐田の大幅な減少が気がかりです。

次に、入場料収入が総売上高の何割を占めているかを見ていきます。入場料収入の比率が高いクラブは、それだけ固定ファンが多く、安定的な収入が見込めるため、経営計画を立てやすいという強みがあります。一方、比率が低いクラブは、広告料収入に依存せざるを得ないため、不景気や成績低迷でスポンサーが離れてしまうと経営が傾く危険性をはらんでいます。欧州では、入場料収入が3割以上あれば健全とされますが、Jクラブはどうでしょうか。

○入場料収入比率ベスト5

1位 浦和 40%
2位 仙台 38.7%
3位 大分 35%
4位 新潟 34.8%
5位 山形 28.4%

3割近い数字になると、かなり優秀です。J1の大手でも、20%に達しないクラブは少なくありません。例えばG大阪、鹿島、川崎などです。

逆に、売上げ規模にもよりますが、入場料収入の少なさは“基盤”の弱さに直結します。

○入場料収入ワースト5

1位 愛媛 5000万円 34.3%
2位 富山 5200万円 9.1%
3位 水戸 6200万円 16.9%
3位 徳島 7000万円 8.2%
5位 岐阜 7700万円 14.8%

やはりJ2のクラブは低く、企業としての“体力”の弱さに繋がってしまいます。額が低いにも関わらず、比率がかなり高い愛媛は、額を伸ばさない限り、これ以上の発展は望みづらいです。

もっとも、より問題なのは比率の低いクラブです。

○入場料収入比率ワースト5 

1位 徳島 8.2% 
2位 富山 9.1%
3位 愛媛 10.59%
4位 柏 10.61%
5位 大宮 11.3%

売上高が27億円余の柏、同33億円余の大宮は、入場料収入の比率が低過ぎます。柏は2億9100万円、大宮は3億7500万円ですが、例えば売上高26億円の広島の入場料収入は5億6000万円、売上高33億円余のG大阪は5億5300万円にのぼります。スタジアムの収容可能人数の問題を無視して一概には言えませんが、それでも改善の余地は多いにあるのではないでしょうか。

<以下、次回へ続く>

---------- キリトリ -----------

本日は会社の飲み会があり、更新が遅くなった上、未だに頂いたコメントへのレスができていません。申し訳ありませんが、明日までご容赦下さい。
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コメント

Re: Jクラブの決算を読み解く・2

徳島の入場料収入が前年度に比べてかなり増加しているのは不思議ですね。
と思って、少し調べてみたのですが・・・。

徳島のオフィシャルサイト(http://www.vortis.jp/clubinfo/index.html)に掲載されている決算報告と、Jリーグのサイトからダウンロードした資料とを比べてみたのですが、入場料収入が明らかに違ってます。
徳島公式は「2900万円」で、J公式だと「7000万円」。
ちなみに「その他」の金額も違ってました。
でも、営業収入は同じ。

恐らく徳島の133.3%増は数字のマジックみたいなものだと思うのですが、いかがでしょうか!?

ご指摘ありがとうございます

>どらぐら様

確認してみましたが、明らかにおかしいですね。計上方法の違い・・・では納得できませんし、Jリーグに問い合わせてみようかなと思います。そこまでやる必要はないかもしれませんがw

もっとも、決算というのはマジックが行われるものですし、勘繰りたくはなりますねw

それにしても、どらぐらさんの“気付きの力”には感服です。

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