07 | 2017/08 | 09

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【完成】理想主義の圧倒 バルセロナ、魅惑のトータルフットボールで欧州に凱歌 

Barcelona 2-0 Manchester United

'10 エトー
'70 メッシー



技巧の粋を凝らしたバルセロナのトータルフットボールが、マンチェスター・ユナイテッドの力強く精緻なリアルフットボールをねじ伏せた。ため息さえ漏れるスキルフルなプレーで、終始試合を支配。マンチェスター・ユナイテッドに大半の時間を自陣での守備に費やさせ、流れの中から“らしさ”溢れる鮮やかな2ゴールを叩き込んだ。理想主義対現実主義の頂上戦は、理想主義の完勝で幕を閉じ、新時代の到来を高らかに宣言した。
---------- キリトリ -----------

異星人のようなスーパースター達も、人並みに緊張するようだ。立ち上がりからボールが足に付かず、互いにパスミスを連発。それでも出足で勝ったマンチェスター・ユナイテッドは、開始直後に直接FKで、9分にはルーニーとの連携でロナウドが2度バルセロナゴールに迫ったが、いずれも決められず。この序盤のチャンスでのフィニッシュワークのまずさが、結果的には大きな重石となった。

直後の10分、バルセロナはイニエスタが中央を駆け上がると右のエトーへパスを出す。エトーは対応に来たビディッチをあっさり交わしてペナルティーエリアの右から中へ切れ込むと、そのままシュート。これがファン・デル・サールの守るゴールをこじ開け、バルセロナが先制する。

世界屈指の堅守を誇るユナイテッドの牙城を、バルセロナが早々に攻略したことで、ここからゲームのテンションは急激に上がっていく。序盤から中盤を無失点で凌ぎ、終盤にテベスやベルバトフを投入して勝ちに出るゲームプランを練っていたはずのユナイテッドが、計算外の後手を踏んでしまったからだ。これに両者の細かいミスも絡み、ゴール前は途端に騒がしくなった。とりわけバタバタと落ち着かないのが、目論見の崩れたユナイテッド。混乱からかショートレンジのパス精度が低く、中盤でボールを収められない。

こうなると、バルセロナの連動したプレスの網にことごとく引っかかる。高い位置から積極的なプレスと組織的な囲い込みをかけられたユナイテッドは、まず前線が孤立し、次いで中盤から前で繋げなくなった。ビルドアップの機能不全は刻一刻と度合いを強めていき、偶然に頼ったロングボールの放り込みか、C・ロナウドの個人技に賭ける以外の手を失ってしまう。前半の見せ場らしい見せ場は、C・ロナウドの突破でピケからイエローカードを引き出した16分、同じくロナウドが惜しいミドルシュートを放った20分の2回程度。ロングボールでルーニーを使う攻めも、バルセロナの右サイドバックのプジョールに封じ込められた。

不得手の守備が効いたバルセロナは、勢いに乗る。ユナイテッドとは次元の違う精緻さで足元へミリ単位のパスを通し、ユナイテッドのディフェンスラインを押し下げる。基本通りのシンプルなパス&ムーヴだが、速度と精度が違うだけで全く別物の“魔法”に変わる。躍動感に満ちた中盤と前線は、チャンスの山を築いた。背走の時間が長くなる一方のユナイテッドは、アンカーのキャリックがディフェンスラインの手前まで下がって中央を固め、何とか踏みとどまるものの、劣勢は時間を追って色濃くなっていった。

後半、ユナイテッドはテベスを投入し、両サイドを高い位置に上げて反撃へ移る。だが、後半の時間もバルセロナのために消費された。48分、糸を引くようなシャビのパスにアンリが追いつくと、そのままカットイン。ファーディナンドを交わして放ったシュートは、ファン・デル・サールが飛び出して足に当て、辛うじて防ぐ。バルセロナはアンリ、エトーが次々とゴールに迫り、7分にはこの日もチームの“心臓”としてパスを捌いていたシャビが魅せる。メッシーが倒されて得たペナルティーエリア正面のFKを直接狙うと、ボールは綺麗な曲線を描いてゴールへ吸い込まれていく。惜しくもポストを直撃したが、バルセロナの猛攻にユナイテッドは専守防衛を強いられた。

ただ、バルセロナにも前半に飛ばしたツケが出始める。統率の取れていたディフェンスラインに少しずつ乱れが生じ、特に左サイドバックのシウビーニョの位置取りは目に見えて悪化。そこをルーニーに使われてピンチを招く。チャンスと見たユナイテッドは66分、守備に奔走していたパク・チソンに代えてベルバトフを投入。ここぞとばかり、たたみかける。この試合で初めて、バルセロナの堅陣が浮き足立つのが分かった。

しかし、バルセロナにはワンチャンスを生かす勝負強さがあった。70分、ファーディナンドの背後で一瞬フリーになったメッシーへ、シャビから最高のタイミングでピンポイントのクロスが入る。跳躍一番、伸びやかなフォームで放たれたヘディングシュートがネットを揺らし、2-0。追いすがるユナイテッドを突き放す。74分にも、シャビのFKにプジョールがダイビングヘッド。これはファン・デル・サールの正面だったが、一連の“アタッキング・ショー”でバルセロナは息を吹き返した。

再びユナイテッドの時間を取り上げたバルセロナは、グアルディオラ監督がケイタの投入で「試合を“締める”」メッセージを伝えた直後に守備モードへとギアチェンジすると、ボール奪取とスペースの“埋め立て”に奔走し、ユナイテッドの最後の抵抗をシャットアウト。テクニック、運動量、組織力、フットボールIQの全てでマンチェスター・ユナイテッドを凌駕したバルセロナが、3シーズンぶり3度目の欧州チャンピオンに輝いた。

---------- キリトリ -----------

もはや書き足すこともそんなに無いわけですが、ユナイテッドは開始から10分くらいの攻勢で1点を奪えなかったのが響きましたね。あそこで点が入っていれば、また展開は違ったものになっていたかもしれません。押している時間帯に失点すると流れが一変してしまうのは、フットボールの常ですから。

それにしてもバルセロナ。溜め息が出るほど美しく、リズム感溢れるフットボールでした。とりわけ、シャビとイニエスタは、スペイン代表で魅せた様そのもの。寸分のズレもないパス技能、落ち着き、まるで後ろにも目が付いているかのような視野の広さ。彼らがいるからこそ、スペインはスペイン、バルセロナはバルセロナたりえるんでしょう。

そして、改めて全世界が下部組織の重要性を痛感したのではないでしょうか。バルセロナのスタメンの半分はカンテラ出身。幼少の頃から徹底して注入されてきた「バルセロニズム」が、他の追随を許さぬスムースな連携、意識の共有を支えているのです。時に、原理主義と揶揄され、戦術的な硬直を招くこともありました。しかし、それを守り抜いた末に辿り着いた“解答”は、カネにモノを言わせてスーパースターを買い集めただけでは不可能な、前人未到の領域でした。

彼らが披露したフットボールを改めて思い浮かべるにつけ、クラブの在り方――伝統や成長戦略の舵取りも含めて――の重要性を考えずにはいられません。一朝一夕で果実は手に入れられませんし、不作で生きながらえるのが精一杯な時もあるでしょう。けれども、自らの哲学を貫くことでしか掴めないモノがある。そのことを、今こそクラブ経営者は理解しなければなりません。
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コメント

素晴らしい!

まさか、ここまでバルセロナのゲームになるとは思いませんでした。

開始直後のロナウドのFKを見せられた時には、
やっぱりユナイテッドなのかなと思ったのですが、
ユナイテッドが見せた一瞬の隙をイニエスタが見逃さず、
最後はエトーがしっかりと決めてくれました!
このワンプレーが流れをガラッと変えましたね。

不安視された両SBも、シウビーニョのオーバーラップはなかなか良かったですし(さすがに守備はちょっと不安でしたが)、
何といってもプジョルはルーニー、ロナウドを抑えながらも、
チャンスと見るや果敢にオーバーラップ。
これが結局は2点目に繋がりましたしね。

不動のCBだったはずが、いつの間にやらDFのユーティリティープレーヤーみたいな感じになっちゃいましたが、
彼がいなかったらと思うとゾッとします。

溜め息さえ出ました

>どらぐら様

開始直後の10分間だけでしたね、ユナイテッドの時間は。そこでかなりのシュートを打っていましたし、決めていればまた展開は違ったのかもしれませんが、バルセロナが先手を取ったことで一方的なゲームになりましたね。

シウビーニョは攻撃面での貢献以上に危なく映りましたが、それでも失点しなかったのはチーム全体の守備組織がしっかりしていたからでしょう。バルセロナは攻撃だけでなく、守備も優れていますね~。

そしてプジョール。最近はCBばかりでSBは代表くらいでしか務めてませんが、さすがに本職。素晴らしい攻守の効きっぷりでした。

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