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06 | 2021/07 | 08

気鋭の知将に学ぶ近代フォーメーション論 

フォーメーションや戦術は、所詮、選手達を有機的に働かせるためのツールに過ぎないのであって、フットボールの根幹には成り得ない――というのが、プラネットフットボールにおける常識であり、常套句だ。しかし、換言すれば、きら星のごときスーパープレイヤーを集めただけでは、官能的で強靭なチームは出来上がらないということにもなる。フォーメーションや戦術を整え、快適な“職場”をつくる。その重要性は、今季のバルセロナやバレンシアの復活が証明している。とりわけバレンシアは、資金難で補強らしい補強ができなかったにもかかわらず、新任のウナイ・エメリ監督とともにチーム一丸で昨季の大混乱に終止符を打ち、見事上位へと返り咲いている。

ウナイ・エメリは1971年11月3日、スペインはバスク地方北部のフエンテラビアに生まれた。祖父と父はプロのGK。本人はMFとしてレアル・ソシエダなどでプレーしたものの、選手としての才能には恵まれず、選手生活の大半を2部リーグで過ごした。しかし、監督としての才は“ワールドクラス”だった。04-05シーズンに所属していたロルカ(当時3部)からオファーを受けて指揮を執ると、いきなり2部へと昇格させる。さらに06年には就任1年目でアルメリア(当時2部)を1部リーグへと導き、迎えた昨季は降格候補の本命に挙げられるも、ダイナミックかつ緻密なフットボールを武器に奮戦。8位で奇跡の残留を果たした。

今季からはバレンシアの復権へと精力的に取り組む。選手達に厳しい規律を植え付ける一方で、細やかなコミュニケーションも欠かさず、厳しい中に“和”や“信頼”が混在する。チームのムードは劇的に変わった。19節を終えて4位。チャンピオンズリーグ出場権の獲得は、もはや目標ではなく必達任務だ。エメリの下、復活へと着実に歩を進めるバレンシア。今やスペインで最も将来を嘱望される37歳の青年監督が語るフォーメーション・戦術論に暫し耳を傾けたい。

※以下、フットボリスタ1月21日号、小澤一郎氏のウナイ・エメリ監督インタビューより一部抜粋

○4-2-3-1や4-3-3を好む理由とサイドアタッカーに求めるもの

「私はサイドの選手にFW同様、エリア内へ入る動きやゴールを要求している。実際にマタ、ホアキン、ビセンテは今季コンスタントにゴールを決めている。現代フットボールはコンパクトで選手間の距離が近いため、いくらドリブル突破が得意な選手でも1人を交わした瞬間に次の敵が現れる。あるいは同時に複数人で囲まれるといった状況に直面する。こうした傾向もあって、サイドの選手には上下の動きのみならず、中への動きやゴールに向かう姿勢を強調している」

「(2トップをあまり使わない理由は)ボールを支配しイニシアティブを握って攻撃する時には通常、相手は守備を整えているものだ。そんな時には、スペースをつくる、マークをずらすなど、攻撃側から何らかのアクションを起こす必要がある。2トップだけでそれを起こしても幅が狭く効果的ではないし、逆に2トップに中盤両サイドが加わり4人が前線に並んでしまえば、攻撃が失敗した時のリスクが高い。最も効果的でバランスがいいのが、1トップと両サイドを合わせた3人でのアクションだ」

○世界的に3トップを採用するチームが増えていることについて

「3トップという概念を持っているチームはバルセロナくらいだろう。少なくともスペインではバルセロナ以外にない。ただ、前述したように攻撃の幅を広げるためには1トップに高い位置取りの両サイドを加えた3人の配置が一番効率的だと思う。現代フットボールでは、縦横ともに40メートル以内のコンパクトさが求められるが、これはあくまで守備戦術においての約束事。攻撃においてはスペースを生み出すためにもサイドを広く使っていくことが重要だ。また、同じサイドからのクロスにしても2トップの場合は初めからCBにマークされているが、サイドから長い距離を走ってクロスに入り込めば相手はマークしづらい。ホアキンやバルセロナのアンリ、アトレティコのマキシはそういう形で得点を重ねている」

○これまではダブルボランチが主流だったが、4-3-3や4-2-3-1の登場でアルベルダのような守備専門のボランチの重要性が増していること、さらには4-1-4-1など中盤で2ブロックをつくりDFラインと3ブロックを形成する守備戦術の増加について

「確かにアルベルダのような選手の重要度は増している。バルセロナにトゥーレ・ヤヤ、レアル・マドリーにガゴ、アトレティコにパウロ・アスンソンと、今やどのチームにも守備的なボランチがいる。それは、多くのチームが攻撃的ボランチの攻め上がりや前線への飛び出しを武器としているからで、バレンシアで説明すればバラハ、マヌエル・フェルナンデス、エドゥといった選手が上がる分、アルベルダはスペースを埋めてバランスを取る必要がある。そうした役割分担がより明確になってきているということだろう」

「ブロックについては、確かに以前は4-4-2で中盤の4人が横並びとなり、DFラインと中盤の2ブロック形成が主流だった。しかし、3ブロックは4-2-3-1の流行に伴い、一般的になっている。加えて守備的ボランチの起用はブロック数を増やすというよりも、DFライン前のスペースを消すことを第一の狙いとしている場合が多い」

○ボールの奪い方、プレッシングについて。バルセロナのように高い位置からプレスをかけて奪うやり方が理想か

「高い位置でボールを奪うことは理想だが、現実的に90分間高い位置からのプレスを持続させることは不可能に近い。よって、重要なのはコンパクトさだ。高い位置からプレスをかけることができない場合には、DFラインを下げてもいい。ただし、チームとしてのコンパクトさは常に維持する必要がある」

○リーガで3バックが少ない理由

「はっきりした理由は分からないが、スペインでは4バックを好む監督が多い。恐らく、3バックより4バックの方がDF一人のゾーン分割エリアが狭く均一で、バランスの良い守備ができるためだろう。ただ、私もリードされている展開では3バックを使うことがあるし、今後抱える選手の特性や対戦相手によっては3バックのシステムを使っていくかもしれない」

○1トップの流行は続くのか

「重要なのはFWの数ではなく、エリア内に入り込む選手の数だ。2人、3人とFWがいても、最終的にエリア内に到達しないようなら意味がない。私がサイドの選手に求めているように今後はFW、中盤という『ポジションの区分け』ではなく、エリア内に入り込む動きなどの『役割』がより重要度を増してくるだろう」

---------- キリトリ -----------

非常に知的で、かつ明確に語る監督ですね。興味を持った方は、フットボリスタかワールドサッカーダイジェストの1月15日号をお買い求め下さい。WSDではエメリ監督がバルセロナ、R・マドリーについて解説しています。

そうそう、海外遠征中のU-17代表が同ブラジル代表相手に2-2ドローと健闘し、宇佐美が2ゴールを決めてました。消えることの多い選手ですが、爆発力は凄いですね。来季はG大阪のトップチームに合流しますが、大きく育って欲しいものです。

さて、前回の記事へのコメントにレスしておらずすみません。ちょっとこれから出かけないといけないので、また改めてしようと思います。申し訳ないです。

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コメント

非常にわかりやすい

お話ですね。
FMで4-4-2しか使いこなせない私にとっても、
参考になりますわ、これ(笑)
もちろんそれだけじゃなく、サッカーに関する知識が幼稚園レベル(笑)なので、
そういう意味でも参考になります。

長々と書きましたが

>どらぐら様

何かの参考になれば幸いです♪
(* ^ー゚)

しかし、フットボールを観戦されている方、FMをプレーしている方の知識は、幼稚園レベルどころか社会人レベルですってw

どらぐら様のレポートを読んでも、十分な見識をお持ちだと思います(偉そうな意味は全くありません)。

私も、読み漁っているだけで身に付いているかは甚だ怪しいですよwww

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