07 | 2017/08 | 09

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育成の効率とは 

来日以来、陣頭指揮を執り、走ることを奨励してきたイビチャ・オシムだが、彼のトレーニングの中に素走りはほとんどない。

フットボールには魔力がある。選手たちはボールを追いかけるからこそ90分間で10数キロメートルもダッシュを繰り返せるのだ。オシムはそれを知っているから、常にピッチにはボールを放り込む。

オシムだけではない。それは世界中の一定レベルに達した指導者たちの常識だ。

かつて韓国五輪代表を指導したデットマール・クラマーは、朝から走り込みを始める指導に嫌気がさして、その現場を離れた。

「スポーツというのは、楽しみとともに行われるべきだ。私は朝から400メートルのタイムを取るために来たのではない」

オシムは時々1週間も2週間もオフを取らないことがあった。さすがに疲労の蓄積を感じた選手たちがオフを直訴すると、オシムは全体のスケジュールを俯瞰して丁寧に説明した。「いつコンディションをピークにしたいので、ここでは休まず少しでも動かしておいた方がいい」と。

選手たちの筋肉などの状態をしっかり把握した上で、いつ休み、いつどの程度動かすべきかを計算し尽くしていたのである。直訴した選手が、逆に感心して帰ってきたほどだったという。

日本の育成年代の現場を見たことのある欧州の指導者が常に口にするのは、いわゆる常識を逸脱した詰め込み教育である。かつてミランの育成を司ったアンジェロ・コロンボは、和歌山県でクリニックを行い、こう言い残して帰った。「子供たちに上手くなって欲しかったら、もっと休ませろ」。

しかし彼のトレーニングはオシム同様に楽ではなかった。90分間の中にまるで無駄がなく、普段はその倍近い時間を割いて走り込みをしていた選手たちが、最後は疲労困憊で膝をついたという。

またミランと並び欧州屈指の名門として知られるクラブの下部組織で、何人もの世界的名手を育てた某コーチも、日本の量に頼った指導に警鐘を鳴らす。「世界的視点に立っても、ボールを10分間以上使わないようなトレーニングはありえない。ボールを使っても、フィジカル、テクニック、戦術…全てを鍛えることができる。メンタル?それも心理学的な見地からしても、量を沢山行うことで鍛えられるわけではない」。

世界のフットボール史の中で群を抜いて精神力の強さを証明してきたのはドイツだ。だがそのドイツでは、育成年代で90分を超えるトレーニングは禁止されている。それでも彼らはW杯という究極の舞台で、120分間を超える崇高なドラマを演出してきた。一方で日本の名門高校の名将たちに“しごかれてきた”選手たちは、ドメスティックな競争には強くても、国際舞台に立つと後半のペースダウンが顕著だった。またその前に無理が祟って、才能を開花できずにスパイクを脱いでいった選手は数知れない。

相撲や自衛隊の世界を見ても分かるように、“しごき”は連鎖し、密閉された世界で続いていく。かつての名将にしごかれ日本一を味わったような選手たちは、やがて指導者に立場を変え同じことを繰り返す。

ある県に2つの対照的な私立高校がある。

Aは学区内からしか生徒を取らないが、Bは全国からJの下部組織出身者も含め選手を集めてきている。

かつてはA校も敗戦に苛立った監督が、無茶な罰走を科し故障者が続出したこともあった。だが数年前にプロのトレーナーと契約。彼が常に選手たちとコミュニケーションを取りながらコンディションを把握し、無茶なメニューを抑止した。

彼はサブのDFに声をかけながらテーピングをする。「このテーピング、また無駄になっちゃうかもしれないけど、いつ出番が回ってきてもいいようにな」。

一方B校には、怪我をしても熱が出ても黙ってやり抜くしかないという雰囲気が培われている。痛みに耐えられない選手をスタッフたちが「甘いんだよ」と叱責し、それを見て育ってきた上級生が下級生へと同じ言葉を連ねる。たちまち入学してきた1年生の3分の1以上が2~3カ月で故障者リストに名を連ねたが、それ以外に無理をして続けてきた選手がいたのは言うまでもない。

結局選手権の予選では、A校がベスト8、B校がベスト4で敗戦。B校の監督は早速しごきメニューを科す。そして体が悲鳴を上げ、階段を上がるのも難しい状態だった1年生が、コーチの許可を得て治療を受けて戻ると、すかさず2年生たちの罵声が飛んできた。

「甘いんだよ。お前が医者に行くくらいなら、オレたち全員行ってるんだよ!」

罵声を浴びせた2年生は、故障でほとんどシーズンを棒に振っている。

確かに高体連にも様々な長所はあるだろう。しかし残念ながら、まだまだ高校選手権を目指す多くの指導者や選手たちが、これが正しい道だと信じているのも現実である。

~エルゴラッソ内、「加部究のフットボール・ジャパノロジー」の第71回、「育成の効率」より~

私が育成年代で師事した監督は、苛烈なメニューを科すタイプでした。ただ、怪我には非常にセンシティブで、異常を訴えれば、直ぐ休ませてくれました。恐らく、フットボールより遥かに“しごき”が常態化している野球を中学までやっていて、かつ故障でフットボールに転向したからでしょう。そういった意味では、私の“下地”は恵まれた環境下で育まれたものです。

私は“しごき”の全てが悪いとは思いません。妥協しがちなフィジカル強化を結果的に追求できますし、時に限界突破を促すこともあるからです。これは自らの体験に基づくものであり、断じて妄言の類ではありません。

ただ、常軌を逸した、しごきという名の体罰は、癌以外の何物でもありません。選手の身体を蝕み、成長を阻害するだけです。

IT革命以後、最先端の情報をいつ・どこででも手に入れられるようになりました。グローバル化の進展とともに、「世界に追い付け・追い越せ」と指導者たちの交流も進んでいます。

しかし、まだまだ“原始”の馬鹿げた悪習が残っているのが実状です。

Jリーグ発足から15年余。長いようで短いことを痛感せずにはいられません。

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全て携帯から打ったので激しく疲れた…。
(・_・;)

所要時間は約1時間。明日も出勤で、睡眠時間は3時間くらいしか無さそうな中、気晴らしに帰りの電車&自転車で書きました。

ちなみに加部究氏は大卒でスポーツニッポンに入社するも巨人軍担当にされたため退社した猛者ですwww
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コメント

自転車で!?

危なくないですか!?
とにかくお疲れ様でした。
加部究氏は、「アンチ巨人orサッカー担当を強く希望していた」のどちらなんでしょうかね。

いわゆる「体育会系」の指導方法も考え直す時が来たのかもしれませんね。
厳しい指導はアリでしょう。
市船橋出身の小川も、布監督の厳しい指導が精神的な成長に繋がったと言っていますし。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/grampus/news/200810/CK2008100102000070.html

ただ怪我については細心の注意を払うべきですし、
体罰などはもってのほかですね。
(学校での部活動は)あくまで教育の一環だというのを忘れて欲しくないです。

すみません

>どらぐら様

いつも周りに怒られるんですが、ついつい暇を持て余して自転車乗りながら携帯使ってしまうんですよね。。。犯罪なので止めないといけません。
(;´Д`)

加部氏はどうなんでしょうね。どらぐらさんに指摘されて初めて気付きましたよ。私はてっきり「アンチ巨人」の一択だと思ってましたが、確かにフットボール担当を希望していたって可能性もありますよね。むしろ、そっちが正しいのかもしれません。

布監督は市船での実績を評価されて協会にスカウトされたんですよね。今はあんまり名前を聞きませんが、健在なんでしょうか。。。

さて、厳しい指導についてですが、これはモンスターペアレントの増加によって減りつつあるようですね。私は、体罰についても“叱る”ためならありだと思いますし、厳しいメニューを科すことも必要だと考えてますが、今の世の中では異端なんでしょうね。でも、教育の失敗はそういうところに案外あるのだとも思うんですが。。。

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