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07 | 2019/08 | 09

J1クラブの経営状態を見てみよう・下 

前回の続きです。





---------- キリトリ -----------

前回の最後に「Jクラブの経営は一部を除いてまずまず健全だ」という話をしたが、実際、2007年度は決算を増益で終えたクラブが少なくない。その要因は様々で、強く魅力的なチームをつくり上げることでサポーターを増やし、入場料と賞金による収入を地道に増やしてきているクラブ(浦和、鹿島、横浜FMなど)もあれば、若手を育て、無名外国人を発掘し、ビッグクラブへ売ることで経営を安定させるクラブ(千葉、甲府)もある。長きに亘る試行錯誤の末に、それぞれがそれぞれの生き様を見付けたということだろうか。


以下は、本業(=クラブ運営)の儲けを示す営業利益。

<営業利益>

※営業増益は18クラブ中13クラブ

J1リーグ平均:1100万円

1位:千葉 4億2000万円
2位:横浜FM 2億3500万円
3位:浦和 2億2000万円
4位:鹿島 1億7800万円
5位:甲府 1億4900万円



17位:新潟 ▲2億9200万円
18位:神戸 ▲5億5700万円

18クラブ中13クラブが営業増益というのは、非常に喜ばしいことだ。もっとも、選手の売却で〝稼いだ〟千葉や甲府などは、08年度も同様にいくとは限らないが…。特にタイトルを獲得したわけでも選手を売ったわけでもないのに2位に入った横浜FMは、経営が黒字体質になっている証拠。評価されてしかるべきだろう。その点、浦和は収入の割には利益が出ていない。


ただ、営業利益は出ていても、借入金の返済や保有資産の価値減退などによって利益が減殺されるケースもある(とはいえ、決算上の数値であり、営業利益が出ている限りはさほど心配要らないが)。念のため補足しておくと、当期純利益とは経常利益に特別損益並びに税を加味することによって算出される利益で、会計年度における企業の経営成績を示すもの。

<当期純利益>

※増益は18クラブ中13クラブ

J1リーグ平均:800万円

1位:鹿島 1億6200万円
2位:千葉 9400万円
3位:磐田 8500万円
4位:大分 7600万円
5位:名古屋 7000万円



17位:新潟 ▲2億200万円
18位:FC東京 ▲2億3600万円


横浜FMは▲100万円、逆に神戸は、営業利益が▲5億5700万円でも、当期純損失は▲7500万円だったりする。なお、浦和は6200万円、甲府は5400万円の利益を計上している。


それから、経営状態を見る上で重要な数値の一つである、営業利益率を計算しておきたい。営業利益率は「売上高における営業利益の割合」で、もちろん高いにこしたことはない。ユニクロのファストリのような例外もあるが、基本的に薄利多売の業種(小売など)は低く、高付加価値商品を売っている経営コンサルティングなどは高い。

<営業利益率>

※営業増益となった18クラブ中13クラブのみ計算
※小数点第二位を四捨五入し、第一位まで

J1リーグ平均:0.3%

1位:千葉 13.5%(注)
2位:甲府 9.0%(注)
3位:横浜FM 4.8%
4位:鹿島 4.5%
5位:大分 3.9%(注)
6位:浦和 2.8%
7位:磐田 2.2%
7位:広島 2.2%
9位:名古屋 1.2%
9位:柏 1.2%
11位:清水 0.4%
12位:川崎 0.3%
13位:大宮 0.07%

(注)付きのクラブは当期に移籍金収入の大幅増が背景にあり、数値を鵜呑みにすることはできない。

業種によってまちまちなため、単純に比較することはできないが、平均が0.3%というのは、それでも低すぎる。


最後に、企業評価において最近よく使われるROAを計算しておく。今回は総資本経常利益率のみ。フットボールクラブは特殊な存在であり、他の業界と比較するのもどうかと思うが、一応参考までに平均水準を載せておく。製造業5.2%、卸売業3.7%、小売業8.2%、建設業5.2%。

<ROA(総資本経常利益率)>

※経常増益となった13クラブが対象
※小数点第二位を四捨五入し、第一位まで

J1リーグ平均:4.7%

1位:千葉 40.2%(注)
2位:甲府 26.9%(注)
3位:浦和 10.4%
4位:横浜FM 8.8%
5位:名古屋 8.5%
6位:鹿島 7.9%
7位:磐田 7.4%
7位:大分 7.4%(注)
9位:川崎 6.8%
10位:G大阪 5.5%
11位:柏 5.3%
12位:広島 5.1%
13位:清水 1.6%

(注)付きのクラブは当期に移籍金収入の大幅増が背景にあり、数値を鵜呑みにすることはできない。

特注付きのクラブ以外では、13位の清水がやや不安定ながら、他のクラブは軒並み5%を超えており、経営的にはそれなりに健康体と言えるのではないだろうか。

---------- キリトリ -----------

2回に分けてJ1クラブの経営状態を見てきた。以前の超赤字体質ばかり印象に残っていたため、今回の分析結果についてはちょっと驚いた。ただ、移籍金収入という〝突発事項〟によって助かっているクラブも少なくなく、「Jリーグのクラブ経営は軌道に乗った」とまでは言えないだろう。08年度の結果を待って、また論じてみたいと思う。

なお、計算は全て筆者が電卓を用いて行っており、幾つかの数字が間違っていてもおかしくはない。その点はご了承下さい。

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