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07 | 2021/08 | 09

メッシーナ消滅の危機 

※超ワールドサッカー内、神尾光臣氏のコラムより

イタリアがロナウヂーニョ移籍交渉で盛り上がっていた14日、ひっそりと一つのニュースが流れた。メッシーナが、セリエB登録を取りやめたのだ。彼らには約5億9000万円の借金があり、選手に対する給料も未払いのままだった。COVISOC(会計監査委員会)からは認められないという通告を受けていたが、ピエトロ・フランツァ会長をはじめとする経営陣はそれに対する異議申し立てを止めた。つまり、現在の借金を埋めるための新たな資本投下を嫌い、クラブを潰す腹を決めたのである。

メッシーナでは毎日のように、市庁前にサポーターによるデモが起こった。市長に対して「資本家などを集めるなりなんとかしてくれ」というのである。それも凄い話だというのはさておき、市長は「細かいスポンサーを集め、サポーターからも年間指定席購入などで協力するようにと話をまとめてフランツァのもとに持っていった」のだが、にべもなく断られた。その程度の資本金だったら、自分達の負担が減ることにならない、と言わんばかりであった。

会計監査が通らず、プロフットボールクラブとしての運営が認められない場合は、当然クラブは解散となる。柳沢敦とチームメイトだったMFカルミネ・コッポラは、「フランツァに裏切られた。俺たち選手はともかく、生活に必要な最低限の給料だけで頑張っていたスタッフだって何人もいたのに。何の保証もなく彼らは路頭に迷うんだぜ」と怒った。今シーズン活躍し、アタランタからも移籍のオファーが来ていたと噂のあったGKエマヌエレ・マニッタは地元への愛着が深い。「もしクラブが再出発できないなら、スパイクを脱いで大学に通い直すよ」と引退さえほのめかしている。

救済措置はある。新会社を設立し、新クラブとして再出発する場合、市民の文化資産保護の観点からプロリーグの最下層カテゴリーである第4部、つまり来シーズンからはレーガ・プロ・セコンダ・ディビジオーネと名前が変わるセリエC2への登録が可能となる。しかし登録にはそれなりにしっかりした組織を立てなければならない。救済法適用の申請には約1700万円の信用金が、そして25日のレーガ・プロ登録までに最低約8400万円の資本金を準備しなければならない。一つの中小企業と思えば大した額ではないかもしれないが、少ない期間でこれだけの金を地元の資本家達が用意できるかどうかは全く持って未知数だ。

こういう問題は、実はメッシーナだけが直面しているわけではない。19日、COVISOCは異議申し立てを受けた審議の結果を発表し、この結果第4部リーグまでに属する9つのクラブが登録不可能(あるいは辞退)という状況となっている。会計面での不正行為を抑制する観点から監査は非常に厳しくなっている。だが、各クラブは運営に苦しんでおり、バランスシートを適合させるのもやっとの話なのである。

今シーズン再昇格したキエーボやレッチェをはじめ、降格や昇格に当たって収入と支出のバランスを崩すことなく成功するクラブもある。その点でいえば、セリエAに上がる際に基礎体力以上に金をばらまいたメッシーナは確かに間違った。2004-05シーズンの前半の飛ばし具合は記憶に新しいが、その時の〝見栄〟が後々にまで響いた格好である。ただその間、強化に不満だと怒り続けてきたのは、地元のファンやそれを煽ったメディアであったのも事実。複雑である。

---------- キリトリ -----------

連休中に暗い話題もどうかと思ったのですが、イタリアの〝暗〟は暴力だけではないということを知っておいて欲しいと考え、これを紹介しました。イタリアは国家自体が経済的に危険な状態にあり(EUの定める経済基準を満たせていない)、フットボールクラブの多くは生きていくのもやっとなのが現状です。セリエAのビッグクラブ、一部の健全な体質を保持するクラブは別ですが、今後もさらに淘汰が進んでいくのは間違いありません。フットボールバブルで最も潤い、沸いた国だけに、どこかで「何とかなる」という甘えがあったのでしょう。夢から覚めて待ち構えていたのが悪夢だったとは、皮肉なものです。

日本がバブル景気の終焉とともにドン底まで落ちていったように、イタリアのフットボールクラブも破滅へとひた走ることになるのか。回答が出る日はさほど遠くなさそうです。
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