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10 | 2008/11 | 12

【修正】本家顔負けの“カメナチオ”が大分に初戴冠をもたらす 

※岩下と児玉が入れ替わっている箇所を修正。恥ずかしい。。。

大分トリニータを率いるペリクレス・シャムスカと清水エスパルスを率いる長谷川健太。とかく共通点の多い間柄だ。ともに43歳、4年の監督歴も同じ。そして。片や降格寸前のチームをファミリーへと昇華させて奇跡の残留、急成長を導き、片や若手を辛抱強く鍛えて名門復権を成し遂げた。艱難辛苦の道程に、自らの信念を懸けて挑み、踏破して辿り着いた“聖地”。2008年11月1日。5万人に見守られ、奇(く)しき縁に手繰り寄せられた2人の指揮官の邂逅。1が並んだ数奇なるナビスコカップ決勝で、ただ1つの頂点を目指し、九州の翔亀と“王国”静岡の鳳雛が激突した。

実力伯仲。この言葉を体現したのが前半の45分間だった。攻める清水と守る大分の構図も戦前の予想通り。ボールテクニックで勝る清水がポゼッションを保ち、FWのスピードを生かすスペースへのパスで侵攻するも、大分は2人のブラジル人守備的MFと3人のDFが緊密な距離感を維持してブロックを構築。徹底したマンマークで粘り強く清水の攻め手を摘む。

初のタイトルを視界に捉えた大分、12年ぶりの戴冠を渇望する清水。緊張から凡庸なミスも見られたが、両者のモチベーションの高さが発露した、闊達でスリリングな展開となった。

一進一退の攻防で先にチャンスを掴んだのは大分。前半19分、右CKに高松がヘディングで合わせると、清水GK山本が弾いたところにホベルトが詰めてシュート。“決めるだけ”の決定的なシーンだったが、ポストに当ててしまい、これを逃す。

その後も大分は積極的に上がる清水左サイドバック児玉の裏を徹底して狙う攻撃で良い形をつくるが、清水も高木、青山、岩下の3人が巧みなラインコントロールでゴール前にオレンジ色の壁を築き対抗。左ウイングバックのレギュラー・鈴木慎を出場停止で欠いた大分の攻撃が右に偏向し過ぎたこともあり、前半はスコアレスで折り返す。

後半は、前半終盤と同様、立ち上がりからアグレッシヴに前へと繰り出す大分を、清水が凌ぎカウンターへと転じる展開から始まった。巻き返しを図る清水は、セットプレーやロングボールからゴールに迫るが、2トップは密着マークに身動きをとれず、枝村も守備に追われて起点になれない。右サイドに山本真と岩下のの“守備仕様セット”を置いていたことも足かせとなり、攻撃は総じて散発的で大分の守備陣に脅威を与えられない。

こうなると大分の優位は揺るがなくなる。「試合前から選手に伝えていた」(シャムスカ監督)という清水の左サイド侵略を加速すると、後半23分、ついに実を結ぶ。

右サイドを駆け上がった金崎のクロスボールに、落下点をいち早く見極めた高松がヘディングシュート。怪我に苦しんできた生え抜きエースの乾坤一擲がネットを揺らし、大分に待望の先制点がもたらされた。

Jリーグのシーズン最少失点記録に肉薄し、今季リーグ戦とナビスコカップで9つのウノ・ゼロ(1-0)勝利を積み上げてきた大分には、この1点で十分だった。

少しずつ攻めのペースをスローダウンさせ、カウンター狙いへ切り替えると、全員守備で清水の反攻を迎撃。清水も失点直後の26分に市川とマルコス・パウロを同時投入し、さらに36分には矢島の投入で前線を3トップするなど猛攻を仕掛けたが、本家顔負けの“カメナチオ”を遂行する青い要塞に悉く跳ね返された。

そして89分、全軍攻撃に出た清水の隙を突き、金崎のキープからウェズレイがフリーで抜け出すと、GKとの1対1をトゥキックで制し追加点。初タイトルを祝い、誇る勝どきがスタジアムを揺らす。スタンドでは、官僚としての約束された“未来”を棄て、大分トリニータの巣立ちに心血を注いだ漢が、ゲン担ぎに着続けるヨレヨレのスーツよりも、顔をくしゃくしゃにしていた。

クラブ発足から14年と7カ月。経営破綻の危機、J2降格の谷底…数多の困窮を乗り越え、ブラジルより来たりし魔術師の下、九州の翔亀が頂点の座へと昇り詰めた。

---------- キリトリ -----------

今更な感もありますが、大分対清水のナビスコカップ決勝戦のマッチレポートを公開します。本当は昨年に続いて国立に行くつもりだったんですが、仕事の予感がしていたので早々に諦めるはめになりました。実際、それは的中して土曜日は取材でした。
( TДT)

ただ、幸いにも生中継には間に合いまして、リアルタイムで観ることができました。

私のように“守備の美学”を愛する人間は大分に肩入れしてしまうため、事前の予想は1-0大分勝利でした。当日、ミクシィの日記では「両チームの対戦は案外オープンな打ち合いになることが多く、スコアボードに0が点る可能性は低いんですが、決勝の舞台で大分の“カメナチオ”が炸裂するのではと見ています」と書いてましたが、結果はほぼ読み通りでしたね。

とにかく、シャムスカ監督の采配は明確で的確でした。清水はここ数試合、勝負の懸かった大事な試合では右サイドに山本真&岩下の「守備重視セット」を起用し、左サイドから攻めて結果を出していました。そこでシャムスカ監督は清水の右サイドを敢えて放置し、スペースが空きやすい左サイドを徹底して狙ったわけです。実際、誰が見ても分かるくらい一貫して清水の左サイドを突いていましたし、先制点もそこから生まれました。まさに慧眼ですね。

ただ、清水は戦術的な攻防で後手に回った以上に選手の硬さが響きました。いつもはもっとアグレッシヴに前へと繰り出してくるのに、この日は――特に中盤が――妙に大人しかった。ミスを恐れて臆病になってしまったのか、バランスを気にして慎重になりすぎたのか。いずれにせよ、チャンスは数えるほどしかありませんでした。その少ない決定機でシュートが入っていれば、また結果は違ったのかもしれませんが。

「視聴率(3.8%)が剣道以下じゃねぇかwww」などと馬鹿にする発言もネット上では見かけますが、非常に中身の濃い好ゲームだったと思います。それぞれの意味を持つ両者の涙にも、ぐっと来ました。

最後に。大分トリニータ、あっぱれなり!!!
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