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03 | 2006/04 | 05

【蹴球】4‐3‐3の攻防・1【連載】 

「オランダ人のDNAに刻まれたスタイル」と言っても過言でないこのフォーメーションは、オランダ代表と同国のクラブチームを中心に、現在世界最強の「矛と盾」であるバルセロナとチェルシーなども基本形としている、前輪駆動の代名詞的存在だ。

ワイドに開いたウイングが相手の左右を突貫し、センターに位置するフォワードはポストプレイヤーとしてタメをつくり、もちろん砲台となってクロスの着弾点の役割も果たす。

チェルシーやバルセロナのように攻防のセンスに優れた「スーパーマン」を有する場合は別として、基本的には中盤の攻防では劣勢を強いられることになるが、逆に相手の危険ゾーンでは数的有利になりやすく、確実にウイングへ繋ぎ、彼らが責任を全うすれば──1対1を制して切れ込むorペナルティエリア内へ正確なクロスを上げる──相手の守備網をいきなり破ることが可能という、大きな魅力を持つ。

ただ、近年はプレッシングフットボールが最盛期を迎えており、パスの出どころを徹底的に潰されると前線が孤立してしまう4‐3‐3は、相対的に言って徐々に威力を失いつつある。

また、様々な評論家の言うように、世界的に守備技術が飛躍的に向上するにつれ、過去にボビー・チャールトンやジョージ・ベスト、ブルーノ・コンティなどが示してきたような活躍をウイングが果たせなくなってきていることも、衰退要因として大きいようだ。もちろん、例えば「より科学的、理性的になったフットボールが1対1の直感的な勝負を奪い、運動量や体格で安全に点を取ることを選択しているからだ」とも言えるのだろうが…。

とにかく、技巧の美しさや魅力あるフットボールを是とする一部の国は別として、勝利を追求するチームには無用の長物と見なされていた4‐3‐3を、前述のバルセロナやチェルシーという両極端なトップチームが使用しているというのは不思議なものだ。

もっとも、両者の4‐3‐3は同じ4‐3‐3にカテゴライズされるとはいえ、中身は似て非なるもの。

共に中盤3枚の底へディフェンス力のある選手を置く(バルセロナならエジミウソン、マルケス、モッタ。チェルシーならマケレレ、エッシェン、ディアッラ)ところまでは同じだが、残りの2枚をデコやシャビ、イニエスタなどのパスセンスに長けたオフェンシブなプレイヤーで揃えるバルセロナに対し、チェルシーのそれはランパードやグジョンセンといった万能型ないし肉体派で構成される。

もちろん、それが保有する選手のキャラクターによるものであることも多分に考えなければならないが、いずれにせよ2人と前線の3人によるクインテッドが即興で創る攻撃が魅力のバルセロナと、ウイングの切れ味とセンタートップのポストプレーを軸にしてダイナミズムと飛び出しで攻撃を創るチェルシーでは、180度とは言わないまでも質と内容に大きな違いがある。

この連載では、4‐3‐3のリアルフットボールにおける捉え方とウイニングイレブン内における意義や働きをリンクさせて掘り下げていきたいと思う。
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