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04 | 2021/05 | 06

偉大なる先駆者よ 

卓越したプレーヴィジョン、一撃必殺のスルーパス、ダイナミックなスタイル、そして心の奥底にたぎらせた闘志。

彼がいたから、日本人は世界基準を知り、日本人フットボーラーは世界へと羽ばたけた。

ベルマーレ平塚ファンだった私は、幾らかヒトより早く彼と出逢い、誇らしげにカルチョの国へと送り出せた。

高校時代、フジテレビの中継で白と黒の最強チームをキリキリ舞いさせる彼を視た。「信じられない」という理性を押しのけて、身悶えする歓喜と目も眩む輝かしい未来が、私に言葉にならない「ほうこう」を上げさせた。

あれから8年と少し。


彼の地位は、名声は──いやそんな無価値なモノじゃない──フットボーラーとしての輝きは、夢見た所へは届かなかったかもしれない。

それでも、彼が演じた「NAKATA」は、脈々と未来へ流れ往く「日本蹴球史」を金色に彩っている。

最後のW杯。孤高の高みに、誰も近寄れなかった。魂を、汲み取れる者はいなかった。涙の意味を解る者も──。


引き継ぐ者よ、早く芽を出せ。

そして、越えて見せてくれ。

歴史は、歩みを止めてはならないのだから。

the ultimate gun 

敵陣奥深く

やや左めの位置でボールを受ける。

ウイングだった頃の習性か

それとも天が定めし「生息地」か

ここが彼のテリトリーだ。

そこから

爆発的な加速力と

その速さからは似つかわしくない

柔らかく多彩なフェイントで

彼は

ステップを刻み

踊るように

駆け抜ける。

対峙するDFは

為すすべ無く

後ろ姿を見つめることを強いられ

必死の覚悟を込めた

「断つ」ためだけのタックルは

虚しく空を切る。


数百年の年月を経て成熟した大樹のような

どっしりとした体幹は

屈強な戦士たちを前に揺ぎ無く

遮るものを

時として

薙ぎ倒し突き進む。

まさに

柔と剛の極限融和――


全方位から繰り出される

正確無比なシュート。

「静」と「無」から突如咆哮を上げて襲いかかる

凶悪なプレイスキック。

ゴールの神の寵愛を一身に集めながら

それを愛すべき仲間と共有する

利他性。


最高のハンターにして最高のコンダクターは

ヤングガンズの守護者として

頂点へ向けて白煙をくゆらしている――
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鉄の意志、炎(ほむら)の心を持つ漢(オトコ) 

永く袖を通した紅から緑と白へ

圧倒的な存在感を放つ〝鬼軍曹〟の

ラストバトル──


彼は決して唯我独尊、孤高にして尊大な男ではない。

全てを圧(お)して雇われ主に一身を捧げ

いついかなる時も

立ち止まることなく

最後の一滴まで振り絞り

勝利と栄光を渇望する。

それが時に

誤解され

疎まれ

敵視されるのは

誰もが──監督でさえ──彼の常人には持ち得ない「カリズマティック」に怯えるからであり

自分の薄っぺらな全力が

真に底打つ全力で無いと気付いてしまうからだ。

それ程までに

彼は突き抜けた男──



ケルト神話息づく大地で

日のいづる国より訪れし左利きの魔術師を従え

守護者達の声轟く館で

いざ、参らん──


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全知全能の神獣 

天に向かって指を翳(かざ)す

言葉を捧げ

祈る──


彼を導いて来た

最愛なるモノへの

感謝と誇りと決意を込めて。


サッカーの王国に生まれた彼。

国内では〝らしくない〟強靭で爆発的な体躯は

ゴールを守る側へと彼を立たせたこともある。

だが、その本性は

世界で最も凶暴な肉食獣のソレは

隠せなかった。

最高160キロを超え、殺傷力すら秘める凶悪なシュートは

あの「小さな巨人」と呼ばれる同朋すら凌駕し

ヘディングは

鋼の様なディフェンダーを飛び越えて直線的に放たれる。

対する者をねじ伏せるパワー。

そこに

軽やかに舞うサンバのリズムが混在する。

幻惑的なステップと

柔らかいモーションは

素早く鋭い──



パワーとスピードとスキル

天より全てを任された

神獣は

緑の平原を跋跨し

その瞬間を

待ちわびている──

七色に輝くガラス細工 

天才──

極東の島国に在って

真にそう呼べる人物は

きっと

彼しかいない。


幼少の頃より認められし才能は

いつ

どこででも

彼を際立たせた。


西洋彫刻のような精緻さ、艶やかさを持つテクニックの数々

そして

いつしか誰かが〝天使のようだ〟と評した

ボールに羽を与え

望み通りの位置へ

人へ

辿り着く

至高のパス──


時に見せる豪快なシュートでさえ

どこかエレガントな香りを漂わせ

演舞を思わせる動作が

熱き戦場に踊る。

彼は

フィールドに

美しい絵を描く画家。


どこからでも

どこにでも浮かび上がる。

その絵は

見るもの全てに

驚きと

歓喜と

ゴールという名の幸福を運ぶ。


だが

彼の脚はガラス細工。

無粋なる者達の

有無を言わせぬ手荒い扱いに

幾度も

創り上げたモノが

破壊され

彼の時間は何度も何度も奪い去られていく。


苦悩の日々は

いったい

いつまで続くのか。


溢れ出る才能が

高く高く

届くことを

誰もが信じている──
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